TOEICのスコアが上級レベルに到達したら、次は900点~満点を目指しますよね。しかし、そこからスコアが伸び悩み、何を勉強すれば良いのか分からず結局いつも同じような勉強をしてしまう人は多いのではないでしょうか。
特に難しいのが、リスニングセクションで満点を目指す勉強方法です。リーディングセクションで満点を目指す場合は、高難度の語彙や文法を覚えるという対策ができますが、リスニングではそこまで難しい語彙や表現はあまり出ないので、リスニングで満点を取るための勉強法や知識が明確に分からないという問題があります。
そこでこの記事では、リスニングで満点を目指すために身に付けておきたい知識や勉強方法をいくつか紹介します。
パート別!満点を目指すための勉強法と知識
パート1は意外な落とし穴!
パート1は6問しかありませんが、テスト序盤ということもあって緊張感から聞き取りに集中できず点数を取り逃すことがあります。TOEICのリスニングは、全問正解しなくても満点を取ることは可能ですが、満点を目指すのであれば、パート1では全問正解を目指しましょう。
パート1は写真描写問題で、写真の描写と当てはまる英文をA~Dの選択肢から1つ選んで答えます。TOEICハイスコアを持っている人であればほとんど問題なく正解できますが、その中に正解が分かりづらい問題が紛れていることあるので、油断はできません。語彙が難しくて聞き取れなかったり、写真にこれといった特徴がなかったりすると、正しい答えを見つけにくくなります。
聞き取れなくても焦らない
パート1では、選択肢の英文が4つ読まれます。その中に正解は1つしかないので、残り3つの英文は写真の描写には全く当てはまらないということになります。つまり、仮に正解の英文を聞き取れなかったとしても、残りの不正解の3つをしっかり聞き取れていれば、消去法で正解を見つけられるということです。また、不正解の英文が聞き取れなくても、正解の英文を聞き取れれば問題ないので、焦らず一つ一つの英文を集中して聞きましょう。
語彙力の強化は必要!
比較的易しい問題が多いパート1ですが、難しい語彙を使っている問題も出題されます。4つの英文のうち、1つくらいは正確に聞き取れない英文があっても正解できますが、2つ聞き取れないと正解を見つけることが難しくなります。4つの英文全てに難易度の高い語彙が含まれていた場合、その設問で正解するのは困難です。リスニングで満点を目指す人は、難しい語彙を多く覚えられる単語テキストで、単語や熟語の意味と発音をできるだけ多く覚えましょう。
人が写っていない写真は要注意!
パート1の写真には人が写っているものが多いのですが、景色だけの写真を見て答える問題もいくつかあります。そのような問題の場合、写真のどこに注目すれば良いのか分かりにくいので、正解の英文を見つけるのが難しくなります。
景色だけの写真描写問題で迷わないためには、写真よりも英文に集中することが重要になります。写真は予め全体をサラッと見ておいて、放送される英文の内容と写真を見比べて正解か不正解かを見極めます。
例えば、花屋のウィンドウに展示されている花の写真があり、以下の4つの英文から正解を選ぶとします。
A. The flowers are being watered.(花が水を与えられている。)
B. The flowers are being plucked.(花が摘まれている。)
C. The flowers are being displayed. (花が展示されている。)
D. The flowers are being sold.(花が売られている。)
この4つの英文を見て、Aから順番に正解か不正解かを区別していきます。Aは水やりの描写はないので不正解。Bは、花が摘まれているところではないのでこちらも不正解。Cの「花が展示されている。」は写真と合っています。Dは迷うかもしれませんが、展示されている花が販売されているのかどうかは明らかでないので不正解です。つまり、正解はCとなります。ちなみに、“be動詞+being displayed”は「~が展示されている」という状態を表す表現で、パート1によく出ます。
このように、景色だけの写真描写問題では、英文を一つ一つ聞きながら写真を観察するのが正解のコツです。
パート2では瞬発的な集中力を維持する!
パート2の応答問題では、短い英文(発言)に対する応答として最も適切なものをA~Cの中から1つ選びます。発言の内容が聞き取れないと正しい応答も分からないので、発言の英文を集中して確実に聞き取ることが重要になります。
既に高得点を持っている人は、疑問詞からの質問文や短い英文などはほぼ確実に聞き取れているはずです。では、どこで点数を取り逃しているのかと言うと、付加疑問文や否定疑問文、複雑な構文を使った少し長い疑問文、または質問ではない英文などが原因と考えられます。
また、応答文の選択肢にも、受験者を迷わせる仕掛けが多く潜んでいます。質問文に対して、素直に「はい」か「いいえ」で答える問題は、それほど多くありません。多くの問題で、質問に対して間接的な表現で応答をしているので、なかなか素早く正解を見つけられません。そして、そのような難しい問題がいくつも続くと、スピードについていけなくなって集中力が切れてしまいます。
パート2で満点を取るためには、短い英文を正確に聞き取る集中力と、会話のバリエーションを多く身に付けることが必要です。質問に対して「はい」か「いいえ」で答えないタイプの問題を多く解いて、本番のハイレベル問題をクリアする実力を付けましょう。
ここで、TOEICのパート2でよく出るタイプの例題を紹介します。
Q. Haven’t you received the e-mail from Mr. White yet? (ホワイトさんからそのEメールをまだ受け取っていないの?)
A. I have received the estimate.(その見積もりを受け取りました。)
B. My e-mail address was changed yesterday.(私のEメールアドレスは昨日変わったのです。)
C. He sent you an e-mail.(彼はあなたにEメールを送りました。)
この問題の正解はBになります。「Eメールアドレスが昨日変更されたから、ホワイトさんからのEメールを受け取っていない。」と間接的に答えています。
パート3、パート4は形式変更対策を万全に!
パート3は会話文ですが、2016年5月の出題形式の変更によって、3名で会話する設問が追加されました。そのため、以前の形式よりもそれぞれの人物の発言を区別するのが難しくなったと言えます。とはいえ、2人の会話文の問題と解き方はほとんど同じです。先に問題文を素早く読んで会話の内容を予測し、解答に必要な情報を聞き取って解答しましょう。
また、図表を見て答える設問も追加され、会話文と図表を関連付ける作業が必要になりました。パート1やパート2に比べて変更点が多いので、形式変更の後TOEICを受験していない人は、しっかり対策をしておかなければいけません。
また、発言の意図を問う問題もあり、これがパート3の落とし穴になります。発言者がどういう意図でその言葉を言ったのかということを、会話文から正確に把握する練習もしておきましょう。
パート4も、パート3と同様に図表と関連付ける問題があります。図表は先読みしておくと英文のヒントを得られるので、予め目を通しておくのがオススメです。ショートトークが流れている間は音声の内容に集中しましょう。パート3もパート4も、図表は簡単なものが多いので、注意して細かく観察する必要はありません。
パート3とパート4で満点を目指すためには、会話文や説明文を最初から最後まで聞き取るリスニング力と、それをパート3の39問、パート4の30問の間ずっと続ける集中力が必要になります。この2つのパートで点数を取りこぼしてしまう人は、素早く問題を先読みして、会話文や説明文の中の、解答に必要な部分とそうでない部分を聞き分ける練習をしておくと良いでしょう。
パート3とパート4で満点を目指す人は、以下の順序で問題を解くのが理想的です。
- 問題文を先読みして英文の内容を予測する。(図表がある場合はそれも簡単に見ておく)
- 先読みした問題文を参考にして、解答に必要な部分で特に集中して音声を聞く。
- 音声を聞きながら、マークシートの答えの部分に小さな点で印を付けておく。
- 答えを3問全て見つけたら、すぐに選択肢を塗りつぶして次の設問を先読みする。
パート3とパート4を通して全てこの順序で解ければ、取りこぼしを最小限に抑えることができます。しかし、解答に時間をかけてしまって次の設問の先読みができない場合もあるので、そういった場面でも冷静に音声を聞いて内容を聞き取り、英文の内容を記憶できるように練習をしておきましょう。
リスニングで満点を目指すための勉強法
基本の学習はそのままでOK!
リスニングの点数が頭打ちになってしまうと、今までとは違う勉強をしようとして闇雲にレベルの高い教材に手を出してしまいがちですが、基本的にはこれまでの勉強方法を変える必要はありません。
リスニングで400点以上の点数を取れる人は、シャドーイングやディクテーションなどの音声を使った学習を既に経験済みだと思うので、それはそのまま継続しましょう。
しかし、そのまま今までと同じやり方で勉強を続けていても、点数は伸びません。今までの勉強に少し工夫を加えながら、徐々に英文や問題の難易度を上げていくようにしましょう。
音声のスピードを上げてレベルアップ!
シャドーイングやオーバーラッピング、ディクテーションなどの音声を使った学習は、リスニングで満点を目指すために必須です。短い英文も長い英文も正確に聞き取るためには、英語の正しい発音や抑揚などを自分で身に付けるのが一番の近道だからです。
リスニングで満点を目指すときは、聴き慣れた英語音声のスピードを今までよりも少し上げて、ディクテーションなどの音声学習に取り組んでみましょう。リスニング教材のCD音源を取り込んであるウォークマンで再生速度を変更できれば、その機能を活用して通常の1.2~1.5倍の速さで音声を聞きながら、シャドーイングやディクテーションなどを行うのがオススメです。
また、旺文社の無料アプリケーション『英語の友 旺文社リスニングアプリ』を使うと、ダウンロードした音声の速度を変更して聞くことができるので、ぜひダウンロードしてリスニング学習に役立ててみてください。
コピーイングを音声学習に追加する
オーバーラッピングやシャドーイングはやっていても、コピーイング(英文を記憶して暗唱すること)まではやっていない人が多いのではないでしょうか。
コピーイングでは、シャドーイングなどの音声学習で覚えた英文を、音声の真似をしながら暗唱します。英文とまとめて文法や単語を覚えられ、発音や抑揚も身に付くのでとても効果的な学習法です。
また、リスニングで満点を目指す人は、コピーイングのスピードをもとの音声よりも少し速くすることを意識して行うと良いでしょう。先ほど紹介した、音声の再生速度を上げる方法を使えない人は、ぜひこの方法でリスニング対策をしてみてください。
難易度の高い参考書、問題集を使う
音声学習と並行して、今までよりも難易度の高い参考書や問題集で勉強するようにしましょう。TOEICのリスニングで満点を取るには、いくつか紛れている難易度の高い問題でも点数を取れないといけません。
満点向けの教材を購入するときは、それらの難しい問題にも対応できるレベルの英語力を身に付けられる教材を選びましょう。TOEIC上級者が間違えてしまうタイプの問題を中心に取り揃えた教材がオススメです。
リスニング満点向けのオススメ教材
『【新形式問題対応】聞いて覚える英単語キクタンTOEIC Test Score990』(編著:一杉武史)
TOEICのハイレベルな問題にも対応できる単語や熟語を学習できる教材です。この1冊を使ってじっくり学習すれば、TOEICのリスニングに出題される難易度の高い単語と熟語もほぼ完璧に覚えられます。
『TOEIC L&Rテストレベル別問題集990点制覇』(著:Craig Brantley、編集:安河内哲也)
難易度の高いミニテストが、1日10分×24回分(リスニング12回分、リーディング12回分)収録されています。ハイスコアを持っている人が難しく感じる問題で勉強ができるので、満点を目指す人の直前対策にオススメです。
リーディングの問題を解いた後は、長文を繰り返し音読しましょう。できるだけスピーディーに、発音やイントネーションに注意して何度も音読してください。難易度の高い長文を音読することで、文章を通して単語や熟語の意味と発音を覚えられるので、リーディングだけでなくリスニング対策にもなります。
上級者だからこそ、油断大敵で臨みましょう!
TOEIC高得点を持っているからと言って、難易度の高い問題ばかり解いていると、基礎の知識を忘れてしまい、結果的に点数が下がってしまうこともあります。満点を目指す以上、基礎問題は絶対に落とせません。
TOEICのリスニングで満点を目指している人は、まずは基礎的な英語学習を一通り済ませてから、高難度の勉強を始めるのがオススメです。道のりは決して平坦ではありませんが、毎日コツコツと勉強を続けて、リスニング満点を目指しましょう!