TOEICの勉強を始めたいけれど、何から手をつければいいのか分からない。
そんな悩みを抱えている初心者の方は非常に多いです。
参考書や学習アプリが大量にあるからこそ、最初の一歩で迷ってしまうのは自然なことでしょう。
しかし、学習の「順番」と「優先度」を正しく理解するだけで、スコアの伸びは大きく変わります。
この記事では、TOEIC初心者が最初にやるべきことを手順に沿って具体的に解説します。
現状把握から目標設定、科目別の勉強法、教材の選び方、そして試験当日の心構えまで網羅しています。
600点到達に必要な学習時間の目安や、挫折しないためのコツもお伝えするので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
TOEIC初心者が「何から始めるか」で悩む理由と学習全体像
TOEICの試験概要と初心者がつまずきやすいポイント
TOEIC Listening & Reading Test(以下TOEIC L&R)は、リスニング約45分間・100問とリーディング75分間・100問の合計200問で構成されるマークシート方式の試験です。スコアはリスニング5〜495点、リーディング5〜495点の合計10〜990点の範囲で評価され、合格・不合格という概念はありません。出題内容はビジネスシーンや日常のコミュニケーションが中心で、学校英語とは雰囲気がかなり異なります。
初心者がつまずきやすいポイントは主に4つあります。まず「試験時間の長さ」です。合計約2時間の集中力を維持する経験がない方にとって、これは大きな壁となります。次に「全問マークシート形式」であること。記述式と違い、消去法や時間配分のテクニックが得点に直結するため、英語力だけでは対応しにくい面があります。そして「合否がない点数制」であるため、何点を目指せばよいのか基準が分かりにくいという問題もあります。さらに「ビジネス英語中心の出題」は、学生や英語学習ブランクのある社会人にとって馴染みの薄い語彙やシチュエーションが多く、戸惑いの原因となります。
TOEIC Program運営元であるIIBCが公開している2024年度のデータによると、TOEIC L&R公開テスト受験者の平均スコアは約612点です。この数字を見ると、多くの受験者が一定の準備をしたうえで臨んでいることが分かります。※参照:IIBC 公式データ(TOEIC L&R スコア平均)
学習の全体像を把握することが最優先である理由
TOEIC対策を始める際に、いきなり単語帳を開いたり問題集を解いたりする方は少なくありません。しかし全体像を把握せずに学習をスタートすると、特定の分野だけに偏ったり、自分のレベルに合わない教材に時間を費やしたりして効率が大幅に下がります。
TOEIC学習のロードマップは、大きく5つのフェーズに分けて考えると整理しやすくなります。以下のフロー図をご覧ください。
本記事はこの5つのフェーズに沿って解説を進めていきます。全体像を頭に入れたうえで各ステップに取り組むことで、「今何をすべきか」「次にやることは何か」が常に明確になり、学習の迷いを大幅に減らすことができます。
600点を最初の目標にすべき根拠
TOEIC初心者が最初に設定する目標として、600点は非常に合理的なラインです。先述のとおり、IIBCの公開データでは公開テスト受験者の平均スコアが約612点となっています。つまり600点は「平均的な受験者と同等の英語力を示すライン」であり、基礎力がしっかり身についていることの証明になります。
就職活動や転職市場においても、600点は一つの基準として広く認知されています。多くの企業が履歴書に記載できるTOEICスコアの目安を600点以上としており、グローバル展開する企業の一般職では600〜730点が求められるケースが一般的です。また、600点はCEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)のB1レベルに相当し、「身近な話題について標準的な話し方であれば主要点を理解できる」段階とされています。※参照:IIBC TOEIC公式データ
さらに重要なのは、600点までのスコア帯は基礎力の向上がそのまま得点に反映されやすいという特徴がある点です。800点以上を目指す場合は高度な読解力や語彙力が求められますが、600点到達であれば中学〜高校レベルの英語基礎を着実に固めることで十分に達成可能です。
勉強を始める前にやるべき3つの準備ステップ
ステップ1:現在の英語力を客観的に把握する
何から始めるかを決める前に、まず自分の現在地を知ることが不可欠です。自分の英語力を客観的に把握しないまま学習を始めると、簡単すぎる教材で時間を無駄にしたり、逆に難しすぎる教材で挫折したりするリスクが高まります。
現在のスコア帯を確認する方法としては、IIBCが公式サイトで提供しているサンプル問題を解いてみることが最も手軽です。また、TOEIC対策アプリの中には無料で模擬テストを受けられるものもあるため、それらを活用して「おおよそ何点くらいか」という目安をつかむのがよいでしょう。
このとき重要なのは、合計スコアだけでなくリスニングとリーディングのバランスも確認することです。たとえば「リスニングは比較的聞き取れるが、リーディングの文法問題でほとんど正解できない」という場合と、「文法は分かるがリスニングがまったく聞き取れない」という場合では、学習の優先順位が異なります。自己分析の結果はノートやスマートフォンのメモアプリに記録しておくと、学習が進んだあとに成長を実感する材料にもなります。
ステップ2:目標スコアと受験日を決めて逆算する
現状把握ができたら、次に目標スコアと受験日を具体的に決めます。「いつか600点を取りたい」という曖昧な目標では学習のペースが定まりにくいため、「2026年○月の公開テストで600点を取る」という形で期限を明確にすることが重要です。
学習時間の目安について、Oxford University Pressが公表している研究データやIIBCの情報を総合すると、現在のスコアが350点前後の方が600点を目指す場合には約450時間の学習が目安とされています。これを3カ月(約90日)で達成しようとすると、1日あたり約5時間の学習が必要になるため、現実的には4〜6カ月の期間を確保するのが望ましいでしょう。1日1〜1.5時間の学習であれば、6カ月程度を見込んでおくと無理のないペースで進められます。
受験日を先に決めて申し込みまで済ませてしまうことも効果的な方法です。受験料を支払うことで「やらなければ」という適度なプレッシャーが生まれ、学習へのコミット度が格段に上がります。TOEIC L&Rの公開テストは年に10回以上実施されているため、自分のスケジュールに合った日程を選びやすい環境が整っています。
ステップ3:学習スケジュールを週単位で設計する
目標と期限が決まったら、次は週単位の学習スケジュールを設計します。ここで大切なのは、「理想的な量」ではなく「確実に完了できる量」で計画を立てることです。無理な計画は数日で破綻し、自己嫌悪から学習そのものを放棄してしまう原因になります。
たとえば、1日1〜1.5時間を確保できる社会人の場合、以下のような週間スケジュールが一つのモデルとなります。
| 曜日 | 学習内容 | 目安時間 |
|---|---|---|
| 月曜 | 単語学習(新出語30〜50語)+文法テキスト | 60分 |
| 火曜 | リスニング演習(Part 1・2)+シャドーイング | 60分 |
| 水曜 | 単語復習+Part 5 文法問題演習 | 60分 |
| 木曜 | リスニング演習(Part 3・4)+ディクテーション | 60分 |
| 金曜 | 単語学習(新出語30〜50語)+リーディング演習 | 60分 |
| 土曜 | 模試形式の演習またはパート横断の総合演習 | 90分 |
| 日曜 | 1週間の復習+弱点の振り返り | 60分 |
平日は特定の科目に集中し、休日にまとまった時間を使って総合演習や復習に充てるという配分です。このように科目をローテーションすることで、特定分野への偏りを防ぎつつ、飽きずに学習を続けることができます。
TOEIC初心者が優先すべき科目別勉強法
最初に取り組むべきは「単語」と「基礎文法」
TOEIC初心者が何から始めるかを考えたとき、最優先で取り組むべきなのは単語力と基礎文法の強化です。単語を知らなければリスニングで聞こえた音を意味に変換できませんし、リーディングでは文章の内容をまったく理解できません。つまり単語はすべてのパートの土台となる要素です。
TOEIC600点を目指す場合に必要な語彙数は、おおよそ3,000〜4,000語とされています。高校までの学習で2,000語程度をカバーしている方であれば、TOEIC頻出の単語を1,000〜2,000語ほど追加で覚えれば十分に対応可能です。学習ペースとしては1日30〜50語の新出語に触れ、翌日・3日後・1週間後と間隔を空けて復習する「分散学習」が記憶の定着に効果的であることが認知心理学の研究でも示されています。
文法についても、TOEICで問われるのは高度な構文解析ではなく、品詞の識別、時制の使い分け、前置詞の選択、接続詞と接続副詞の区別といった中学〜高校基礎レベルの知識が中心です。これらを体系的に復習するだけで、Part 5の文法問題はもちろん、Part 6やPart 7の読解スピードも向上します。
リスニング対策は「音声への慣れ」から始める
TOEICのリスニングセクションはPart 1(写真描写)6問、Part 2(応答問題)25問、Part 3(会話問題)39問、Part 4(説明文問題)30問の計100問で構成されています。初心者がまず取り組むべきなのは、Part 1とPart 2の短い音声で英語の音そのものに慣れることです。
Part 1は写真を見て正しい描写を選ぶ問題で、音声は1文ずつと非常に短いため集中しやすく、英語の発音パターンやリンキング(音の連結)に気づくきっかけになります。Part 2は質問に対する適切な応答を選ぶ形式で、やはり短い音声のやりとりのため初心者でも取り組みやすいパートです。
具体的な学習法としては、まず「シャドーイング」が挙げられます。音声を聞きながらほぼ同時に声に出して追いかける練習で、英語のリズムやイントネーションを体に染み込ませる効果があります。次に「ディクテーション」も有効です。聞こえた英文を書き取ることで、自分が聞き取れていない音を明確にすることができます。これらを1日15〜20分ほど続けるだけでも、1カ月後にはリスニング力の変化を実感できるはずです。なお、使用する音声教材はTOEIC公式問題集のものを推奨します。本番のナレーターの発音やスピードに最も近いため、実践的なリスニング力が身につきます。
リーディング対策は「Part 5の文法問題」を起点にする
リーディングセクションはPart 5(短文穴埋め)30問、Part 6(長文穴埋め)16問、Part 7(読解問題)54問の計100問です。初心者が最初に取り組むべきはPart 5の文法問題です。
Part 5は1問あたり20〜30秒で解くことが目標とされる短文形式の問題であり、基礎文法と語彙の知識がダイレクトに問われます。1問の分量が少ないため学習のハードルが低く、正解・不正解の原因を分析しやすいという利点があります。Part 5で安定して正答率を上げられるようになれば、文法力が着実についている証拠です。
一方、Part 7の長文読解は複数の文書を読み比べる問題も含まれ、基礎力がない状態で取り組むと時間がかかるうえに正答率も上がりにくいため、学習効率が良くありません。Part 7は基礎固めが一定レベルに達してから本格的に演習を始める方が効果的です。
リーディング力を底上げするテクニックとして「スラッシュリーディング」の導入もおすすめです。英文を意味のかたまりごとにスラッシュ(/)で区切りながら読み進める方法で、返り読みの習慣を減らし、英語の語順のまま意味を理解する力を養うことができます。
科目別の学習配分の目安
学習初期は科目ごとの時間配分を意識して計画を立てることが重要です。以下の表は、TOEIC初心者が600点を目指す場合の学習フェーズごとのおおよその配分イメージです。
| 学習フェーズ | 単語 | 文法 | リスニング | リーディング |
|---|---|---|---|---|
| 初期(1〜2カ月目) | 40% | 20% | 25% | 15% |
| 中期(3〜4カ月目) | 25% | 15% | 30% | 30% |
| 直前期(5〜6カ月目) | 15% | 10% | 30% | 45%(模試含む) |
学習初期は単語と文法に半分以上の時間を割き、基礎の土台を構築することに集中します。中期以降はリスニングとリーディングの演習量を増やし、直前期には模試形式の演習を通じて本番のペース配分を体に覚え込ませていきます。このように段階的に配分を調整することで、基礎と実践をバランスよく積み上げることができます。
初心者におすすめの教材・アプリの選び方
参考書・単語帳を選ぶ3つの基準
TOEIC対策の教材は数多く出版されており、書店の棚を前にして迷ってしまう初心者の方も多いでしょう。教材選びで失敗しないために意識すべき基準は3つあります。
まず1つ目は「TOEIC対策専用の教材であること」です。一般的な英語学習書や英検対策書では、TOEICに頻出する語彙や出題形式に十分対応できません。表紙や帯に「TOEIC対策」と明記されているものを選ぶようにしましょう。
2つ目は「自分の現在のレベルに合っていること」です。600点目標の方がいきなり900点向けの上級者用教材を使っても、理解が追いつかず挫折の原因になります。書店で数ページ読んでみて、「8割くらいは理解できるが2割は新しい知識」というレベル感が理想的です。
3つ目は「音声が付属していること」です。単語帳であれば発音を確認しながら覚えることでリスニング力にも直結しますし、問題集であれば本番に近い音声で演習を積むことが不可欠です。2026年現在では、書籍に付属するダウンロード音声やアプリ連動型の教材が主流となっており、利便性も大幅に向上しています。
代表的な教材としては、IIBC公認の「TOEIC公式問題集」シリーズが本番に最も近い問題を収録しており、実力確認や模試演習に最適です。単語帳については、TOEIC頻出語を出題頻度順に収録したものが効率よく学習を進めるうえで役立ちます。
学習アプリを活用するメリットと注意点
2026年現在、スマートフォンの学習アプリはTOEIC対策においても強力なツールとなっています。通勤時間や昼休みなどのスキマ時間に単語の復習やリスニング練習ができるため、忙しい社会人にとっては特に有効です。
アプリを選ぶ際は、TOEIC対策に特化していること、自分のレベルに合ったコンテンツが用意されていること、そして学習記録が自動で蓄積される機能があることを確認してください。学習記録が可視化されると、日々の進捗を実感できてモチベーション維持に大きく貢献します。
ただし、アプリだけに頼りすぎるのは避けた方がよいでしょう。アプリでの学習はどうしても短時間・断片的になりがちで、長文読解や模試演習のようなまとまった集中時間を要するトレーニングには不向きです。あくまでメインの学習を補完するサブツールとして位置づけるのが効果的な使い方です。
学習を継続するためのコツと試験当日の心構え
挫折しないための3つの工夫
TOEIC学習は数カ月にわたる長期戦です。モチベーションを維持して最後まで走り切るためには、仕組みづくりが欠かせません。
まず、学習の記録を毎日つけることを習慣にしましょう。何を何分学習したかを記録するだけで、「今日もやった」という達成感が生まれます。ノートでもアプリでも構いません。次に、週に1回は自分の成長を確認する機会を設けることが大切です。1週間前に解けなかった問題を再度解いてみて正解できれば、確実に力がついていることを実感できます。そして、充実したを求めすぎないことも重要なポイントです。1日の学習目標を達成できなかった日があっても、翌日に少し多めに取り組めば十分に取り戻せます。100%の計画遂行より、80%の継続の方がはるかに成果につながります。
試験当日に実力を発揮するための準備
試験前日は新しい知識を詰め込むのではなく、これまでの学習内容を軽く復習する程度にとどめ、十分な睡眠を取ることを優先してください。試験当日は会場に余裕を持って到着し、リスニングの音声に耳を慣らすために英語の音声を軽く聞いておくとスムーズに試験に入れます。
時間配分も事前に確認しておきましょう。リーディングセクション75分間の目安として、Part 5に10分、Part 6に10分、Part 7に55分という配分が一つの基準です。分からない問題に時間をかけすぎず、マークだけして先に進む判断力も重要になります。200問すべてにマークすることを最優先に考え、空欄を残さないようにしましょう。
まとめ:TOEIC初心者は「正しい順番」で始めれば600点は達成できる
TOEIC初心者が何から始めるべきかを整理すると、その答えは「全体像を把握し、正しい順番で学習を進めること」に集約されます。改めて、本記事で解説した学習の流れを振り返りましょう。
英語を、習慣にする。
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