大手オンライン英会話スクール『レアジョブ』が、2020年6月に独自開発のスピーキングテスト『PROGOS(プロゴス)』をリリースしました。これまで有料のスピーキングテストのみだったレアジョブに、無料で受験できる機会があるスピーキングテストが加わったのはユーザーにとって嬉しい内容です。
- ビジネス英語問題が中心
- AIによる自動採点で24時間受験OK
- 国際規格CEFRをベースに採点
- 細かいフィードバックをもらえる
ザっと見てもメリットの多いスピーキングテストであることが分かりますよね。
また、これからオンライン英会話を始めようとしている方にとっても、スピーキングテストがあるかないかは重要な選ぶポイントとなるでしょう。そこで今回は筆者が実際に『PROGOS』を受けてみました。概要や申込み方法、受験した感想まですべてお届けしますので、ぜひ参考にしてみてくださいね!
レアジョブ開発のスピーキングテスト「PROGOS」の概要は?
『PROGOS』は、個人受講では現在レアジョブの有料会員のみが受験できるスピーキングテストです。まずは主な概要を見ていきましょう。
- 日常会話コース会員:毎月1回無料
- ビジネス・中高生コース会員:毎月2回無料
- 受験方法:オンライン(レアジョブ公式HP)
- 受験時間:24時間いつでも
- 採点方法:AIによる自動採点
- 所要時間:約20分
- 結果指標:CEFR-J、CEFR基準J
CEFR(セファール)とは?詳しく解説!
『PROGOS』の詳細に進む前に、「CEFR(セファール)」について詳しく知っておきましょう!
EUが発足!国際的な外国語力の指標
1993年にEUで生まれた外国語能力の指標が「CEFR」です。
”Common European Framework of Reference for Languages”を略した「CEFR」には、「ヨーロッパ言語共通参照枠」の意味があり、その対象となるのは英語だけではありません。
フランス語やイタリア語、スペイン語など、2020年現在で38言語において共通の判断基準が保たれています。
この背景には、多言語が使用されるEU内において、「どの言語をどれくらい話せるのか?」という点を、第三者がひと目で分かるようにし、よりスムーズな相互交流への目的があります。
6段階のレベルで言語運用能力を測定
「CEFR」は合否ではなく、6段階のレベルによって「どれくらいその言語を使いこなせるか?」を判定します。
6段階の大まかなレベルはこちら。
- A1:初心者
- A2:初心者~継続中
- B1:継続中~中級者
- B2:準上級者(実務運用できるレベル)
- C1:上級者(実務運用に優れるレベル)
- C2:ネイティブと遜色のないレベル
大まかなレベルは上記のようになりますが、「CEFR」は決して知識量だけで判定されるものではありません。そのため、各レベルにはより細かい判定基準がついています。
A1
具体的な欲求を満足させるための、よく使われる日常的表現と基本的な言い回しは理解し、用いることができる。自分や他人を紹介することができ、住んでいるところや、誰と知り合いであるか、持ち物などの個人的情報について、質問をしたり、答えたりすることができる。もし、相手がゆっくり、はっきりと話して、助けが得られるならば、簡単なやり取りをすることができる。
引用:ブリティッシュ・カウンシル
記事後半から詳しく解説していきますが、レアジョブの『PROGOS』では、表現の幅や流暢さなど、実際の「CEFR」同様の細やかな基準でAIがレベルを判定。そのため、初心者でも今後どのような学習をすれば効率的なのか、具体的に見えてくるようになります。
A2
ごく基本的な個人情報や家族情報、買い物、地元の地理、仕事など、直接的関係がある領域に関しては、文やよく使われる表現が理解できる。簡単で日常的な範囲なら、身近で日常の事柄について、単純で直接的な情報交換に応じることができる。
引用:ブリティッシュ・カウンシル
同じ初心者であっても、「自己紹介ができる」と「仕事について説明できる」では少し変わってきますよね。英語を上達させるためには、常に自分のレベルを正確に把握しておくことが大切です。
B1
仕事、学校、娯楽などで普段出会うような身近な話題について、標準的な話し方であれば、主要な点を理解できる。その言葉が話されている地域にいるときに起こりそうな、たいていの事態に対処することができる。身近な話題や個人的に関心のある話題について、筋の通った簡単な文章を作ることができる。
引用:ブリティッシュ・カウンシル
B1であれば、まだ現地での採用は難しいかもしれませんが、渡航後のリスニング力や日常生活に問題なくなるレベルです。留学前にこのあたりまで目指しておけば、留学先での学習もスムーズになるでしょう。
B2
自分の専門分野の技術的な議論も含めて、抽象的な話題でも具体的な話題でも、複雑な文章の主要な内容を理解できる。母語話者とはお互いに緊張しないで普通にやり取りができるくらい流暢かつ自然である。幅広い話題について、明確で詳細な文章を作ることができる。
引用:ブリティッシュ・カウンシル
B1とB2では大きな差があるように感じます。一般的な語学留学を1年程度した場合、帰国時にB2レベルであれば上等でしょう。現地大学や就職を目指すなら、もう少しレベルアップしたいところ。
C1
いろいろな種類の高度な内容のかなり長い文章を理解して、含意を把握できる。言葉を探しているという印象を与えずに、流暢に、また自然に自己表現ができる。社会生活を営むため、また学問上や職業上の目的で、言葉を柔軟かつ効果的に用いることができる。複雑な話題について明確で、しっかりとした構成の詳細な文章を作ることができる。
引用:ブリティッシュ・カウンシル
Cレベルになってくると、大台といったところでしょうか。レアジョブの『PROGOS』でも、Cレベルはなかなか到達できません!
C2
聞いたり読んだりした、ほぼ全てのものを容易に理解することができる。いろいろな話し言葉や書き言葉から得た情報をまとめ、根拠も論点も一貫した方法で再構築できる。自然に、流暢かつ正確に自己表現ができる。
引用:ブリティッシュ・カウンシル
C2まで到達すれば、ほぼネイティブと変わりなく、流暢に話せるレベルとみなされます。
レアジョブならCEFR基準でレベルが知れる!
「CEFR(セファール)」は外国語の国際標準規格であり、世界的な信頼度も高い指標です。先ほど少し触れましたが、「CEFR」の判定には以下の基準がもうけられています。
- Range(表現の幅)
- Accuracy(正確さ)
- Fluency(流暢さ)
- Interaction(やりとり)
- Coherence(一貫性)
- Phonology(音韻/発音)
レアジョブの『PROGOS』なら、上記6つのポイントそれぞれ、どういった点が強みで弱点はどこかまで細かいフィードバックをもらえるのがうれしい点。
この結果をもとにして教材を選んだり学習方法を変えることができますので、目標まで効率的に進めていくことが可能になります!
受験自体は有料会員であれば中高生でも可能ですが、問題はビジネスシーンに沿って作られています。法人向けとしても提供されているサービス、AIによる精度の高い採点で、「現場で使える英語力テスト」としても注目度の高い内容です。
すでにレアジョブの有料会員である方はぜひ毎月受験をおすすめしたいのはもちろんですが、オンライン英会話選びで迷っている方にとってもレアジョブの新たな強みとしておすすめできます。
スピーキングテストを定期的に受けるメリット
オンライン英会話は継続が重要ですが、同じくらい定期的な英語力テストを受験することも大切です。英語力テストを定期的に受けるメリットを、あらためて考えてみましょう。
- 客観的なスコアで英語力の視覚化
- 英語学習での弱点を把握する
- モチベーションの維持と向上
英語力は目に見えないがゆえ、成果や弱点を把握しにくいのがネックになりがち。実際にどれくらい上達したか分からないとモチベーションの維持は難しいですし、学習計画も立てにくいですよね。
定期的なテストを受験することにより、成果と弱点がクリアになります。特に弱点は、今後英語力がどう伸びていくかを左右する重要なポイントですので、常に把握しておくことが大切。
さて、大手オンライン英会話で無料スピーキングテストを採用しているのは、『ネイティブキャンプ』『DMM英会話』、そして今回新たに加わった『レアジョブ』です。
『ネイティブキャンプ』は所要時間5分程度で受験できたり、『DMM英会話』は無料体験でも受験できることがメリットですが、より正確で高精度な採点は『レアジョブ』が圧倒的にリード。特にビジネス英語、TOEICなどをめざしている方にとっては、常に自分のレベルを正確に知ることが重要なポイントになりますよね。
その点からもおすすめしたいのは『レアジョブ』のスピーキングテストを定期的に受けることです。
レアジョブのスピーキングテスト「PROGOS」の申込み方法
先述したとおり、レアジョブのスピーキングテスト「PROGOS」を受験できるのは、有料会員のみです。
レアジョブ「PROGOS」を実際に体験!問題構成と結果は?
2020年8月と9月に二度受験しました。例文はざっくりとした内容だけお伝えします!
Part1:インタビュー
AIによる自動音声(とてもナチュラルです!)による質問を受け、マイクに向かって回答を吹き込みます。一問一答形式で、各質問に対し20秒の回答時間が与えられます。1~3問目は一般的なことに関する単純で簡単な質問でしたが、後半は一気にビジネス要素をアップしてきたので少し驚きました。
Part2:音読
part2に関しては表示された英文を音読するだけですので、それほど難しくはありません。ただ、制限時間が10秒しかないため、音読に慣れていないと時間が足りないことも。分からない単語があっても、まずは読んでみるようにしましょう。
Part3:プレゼンテーション
ビジネスに関するトピックについて、40秒で考えをまとめ60秒で回答を吹き込みます。考える時間には辞書を使っても問題ありませんが、どちらかというと「文章の構成力」をチェックされているように感じました。そのため、あえて難しい単語を探すよりも、知っている単語を使って説明する程度で十分ではないでしょうか。
Part4:グラフ、図を用いたプレゼンテーション
口コミを見ても、「ここが一番難しかった」と言われている設問です。私も正直なところ、かなり悪戦苦闘しました。というのも表示されたグラフにはそれほど多くの情報がないからです。「できるだけ詳細に説明してください」と言われても…という印象。想像力を働かせるしかありません。
Part5:ロールプレイ
シチュエーションがある上で、AIとの対話形式で質問に回答していきます。質問は全部で3つ。あらかじめ与えられたトピックについて40秒で考え、回答の制限時間は30秒です。自分の経験や意見をもとに回答して問題ありません。
結果(フィードバック)
結果は15分~30分程度で返ってきます。私は「B1 High」でした。このレベルは記事の冒頭でも触れた「CEFR」がベースとなっています。世界的な評価基準ですが、あまり馴染みがないのでよく分からないというのが正直なところ…(笑)
ただ、以下のレベル対照表にて、レアジョブレベル・TOEIC・英検など、メジャーな英語試験と比較することができます。
(英検等との対照表)
(レアジョブレベルとの対照表)
(PROGOSの結果にはこのように表示されます)
特にレアジョブレベルは教材選びで役立ってくれるので、ユーザーにとってありがたい部分ですよね。個人的には、単純な結果よりもフィードバックが丁寧なことの方が驚きでした。
- レベルアップへの学習アドバイス
- 具体的な学習例
- 参考(表現例)
- レアジョブでのおすすめ教材
このように、単純な数値としてだけではないフィードバックがあり、とても充実度の高い内容となっています。ただ、2回受験して2回ともほぼ同じ結果・同じフィードバックでしたので、やや偏りはあるかとは思います。
それでも、その時々で必要な学習ポイントが明確にはなりますよね。
2回受験してみての感想
まず、テスト内容としては経験値が低いとなかなか答えられないと思いました。このスピーキングテストは中高生でも受験可能であるものの、内容的にビジネス経験がないと分からないことが大半です。
とはいえ、大学生以上にとっては「想像力」があれば十分にチャレンジできる内容。私は二度受験しましたが、一度目は自分の経験値をもとに回答しようとして悪戦苦闘しました。しかし冷静に考えてみると、別に事実を述べる必要はまったくないのです。
あくまでも英語力を測るテストですので、想像で回答してOKということ。逆に想像力がないと回答出来ません。この点はTOEICでも同じですよね。ビジネスEメールの経験がなくとも、TOEICにはたくさん出てきます。経験がないことを聞かれた場合にも、落ち着いて想像力を働かせて回答しましょう。
一点だけ、月をまたいでの受験でも、2回とも同じ内容である点にはややがっかりしてしまいました。β版だからのようですが、この点についてはぜひ改善してもらいたいポイント。正確に自分の英語力を測るなら、テストのための予習や勉強はかえってしない方がいいと感じます!
まとめ
『レアジョブ』の新サービス「PROGOS」は、ぜひユーザーなら定期的に受験してもらいたいテストです!他の英語力診断テストと比べても精度が高く、AIとは思えないリアルさでスピーキングテストを受けることができます。
また、「どのオンライン英会話にしようか」と悩んでいる方にとっても、非常に重要な選ぶポイントになると感じました。『レアジョブ』では無料体験を2回も提供していますので、これを機会にぜひお試しくださいね。