ネイティブから英語で話しかけられても、あなたは、聞き取れない為に答えられない。気まずい沈黙が続いていると、ネイティブは、”Never mind”と、一言告げると、つまり「捨て台詞」ともとれる一言を告げると、立ち去ります。あなたはただ「ああ、どうして、いつもこうなるの、もうあのネイティブは、二度と話しかけてはくれないだろう!」と嘆くだけです。その為に、英語を話そう、英語を学ぼうというあなたの熱意に陰りが生じてしまう。そんな経験はありませんか?
今回は、そんな方々の為に、「英語のリスニングのコツ」について、具体例で発音の音の変化などを、ご説明させていただきます。ご参考にして頂ければ、幸いです。
英会話では「沈黙はクズなり」
私には、先ほどのネイティブが難しい質問をしたとは、思われません。日本人、東洋人のあなたを見て、分かり易い英語で尋ねたはずです。それでも聞き取れない。多くの日本人が「もう英語は諦めよう」と思うのは、こんなことからなのです。
ここで、簡単なアドバイスをさせていただくと、まず、どうして聞き返せなかったのだろうか?という事です。 「沈黙は金なり」という諺がありますが、英会話では、「沈黙はクズなり」です。移民が建国した国アメリカや、移民が多数いるイギリスやカナダでは、英語でコミュニケーションがとれない人達は、結局のところ、避けられてしまうのが悲しい現実です。特に言葉の分からない人を少し助けてあげようとするのに、相手に黙り込まれては最悪です。そうなると、なるべく避けたくなるのは、当然です。
あなたは、恥ずかしがらずに、”Excuse me?” と聞き返すべきだったのです。あなたが出来る最も綺麗な発音で、”Excuse me?”と言えば、そのネイティブは、「何だ英語出来るんだ、他のフレーズでもう一度聞けばいいわけね、それじゃ、もう少し易しい英語で尋ねてみよう」と、即座に理解して、尋ね返してくれる可能性が非常に高かったはずです。更にその後、会話が弾んでいく可能性もあったはずです。だから私が、英会話では、「沈黙はクズなり」だと言う意味を理解していただけると思います。そして、慣れるまでには英会話には勇気が必要です。勇気を持ち、「沈黙はクズなり」の沈黙だけは避けましょう。
意外と簡単なディベートの英語!最初は苦労させられる日常英会話!
ニューヨークに留学した最初の頃は、単純な日常英会話に苦労しました。ニューヨークはアメリカ第一の、他のアメリカの都市とは比べものにならない巨大都市で何につけても非常に便利な、しかもエキサイティングな街です。東京や大阪に住んだ日本人なら、ニューヨーク以外のアメリカの都市は、田舎だなと感じるものです。LAやシカゴでも田舎だなと感じてしまいます。東京や大阪育ちの日本人の多くは、一度ニューヨークを訪れると、やはり自分にはニューヨークが向いている、ニューヨークが似合うと、アメリカの他の都市からニューヨークに移り住まれてしまうのです。そんな大都市ニューヨークの住人、ニューヨーカーたちは、歩くスピードも話すスピードも速くて、最初のうちはそのニューヨークアクセントの英語には、リスニングも中々ついていけませんでした。
そんな中で痛感したのは、学校の授業の「英語での討論」は、意外と簡単だなという事です。その理由を上げてみると、まず、討論の英語は比較的ゆっくりと話されます。人は重要なことを話す時には、早口では話しません。ゆっくりと、一語一語を吟味して熟慮して話すものです。更に、そうして話されたことを理解できない場合は、相手に問い返す時間的な余裕も充分あります。討論なのですから、相手の真意を確かめながら進めていくのは当然のことです。そしてあらかじめ自分が学んだ討論のための定型文を駆使して自分の言いたいことを相手に伝えている時には、自分でも驚くほど高尚なことを英語で話しているなと、自分ながら感心してしまう事すらありました。
それに比べると、最初に日常のシンプル(簡単)な英会話に慣れるまでは、リスニングには苦労させられました。それは、頻繁に主語が省略されたり、短縮形の多用があったり、英語の発音でリエゾンや子音の消失などで、自身のリスニング能力が足りなかったからです。それでいろいろな工夫をしてリスニングの能力やスピーキングの能力を高めていく努力をしたものです。一度、この日常英会話に慣れてしまえば、つまりこの非常に単純な日常英会話に慣れてしまうと、今までの悩みが嘘みたいに消えて、何の問題もなく余裕を持ち日常英会話に対応できるようなりました。
リスニングのコツは、スピーキングの能力を高めることにもある!
コインに裏表があるように、英会話にもリスニングとスピーキングがあります。英会話はキャッチボールと同じです。あなたがスピーキング役ならボールを投げる(英語を話す)わけで、相手はリスニング役でボールを受け取る(英語を聞き取る)わけです。これが交互に行われ、英会話が成立します。ここで、「人は、話せない(自分で発音できない)言葉は、聞き取れない」ということを聞かれたことはありませんか。これは、ある言語学者のリスニングとスピーキングに関するある程度有名な一つの定義、又は仮説です。これに関しては否定的な説も含めて、色々な説があります。私は、概ねこの「人は、話せない(自分で発音できない)言葉は、聞き取れない」という説は、正しいと思っています。だから、リスニングの能力を引き出し、それを高めるためには、リスニングも大切ですが、スピーキングも非常に大切だと感じてリスニングの練習をしてきました。
私はアメリカから一時帰国した時に二年程、英会話学校の講師をしたことがあります。日本人講師は、主に英検、TOEFL やTOEIC対策等々、 生徒さん要望で、40分一コマの授業をしていました。その時に新しい生徒さんに私が必ずして頂いたたことは、最初にネイティブの講師と少し英会話をして頂くのです。そうすることにより、生徒さんの大体の英語の実力と問題点が分かります。それで気が付いたことは、スピーキングは優れているが、リスニングは全く貧弱だとか、又、その逆だというアンバランスな生徒さんは、殆どおられないという事でした。ですから、人というのは、語学については、知る知らないは別として、リスニングとスピーキングには、自然と同じように取り組んでいると思うのです。必要なのは、その二つの能力を更に引き出す努力をすることです。
それでは、そろそろスピーキングの能力を高めていくとリスニングの能力も引き出せるという「英語のリスニングのコツ」を説明させていただきます。
英語のリスニングのコツはリスニングとスピーキングのダブルでやる!
今回は、どんどん具体例を聞き(リスニングして)、それを自分自身で話して(発音し、スピーキングして)確認していきます。ある程度の数の具体例に当たると、自分自身で大体の発音の予想が出来るようになりますから、リスニングが更に出来るようになりますし、流暢なスピーキングが出来るようにもなります。この流暢なスピーキングが出来るという事は、英会話の上達に非常に重要なポイントですので、スピーキングにも同時に取り組みましょう。
それではまず、この練習をするにあたり、英文読み上げサイトを使用しますので、次のサイトで読み上げサイトをご利用ください。いろいろな英文読み上げサイトを試しましたが、私のお気に入りは、この”Odcast”というサイトで、私は、タイ語とスペイン語の練習にもこれを使います。話し手も色々な話し手を選べますが、今回は私のお気に入りの女性の話し手、Ms. Julie(US)をお使い下さい。画面には美人の(流し目をされると少しセクシーな)女性が現れます。使い方は、左上のEnter Text:の部分に読み上げてもらう単語、文章をコピペして、右下のSay Itのボタンをクリックします。すると、音声が読み上げられますので、リスニングの練習が出来るわけです。
Oddcast, Text to Speech
http://www.oddcast.com/home/demos/tts/tts_example.php
それでは、下記の単語や文章をコピペして、どんどん試してみましょう。
- Wait. “t”の発音がきれいにされているのを確認してください。しかし、次では、
- Wait a moment. ウエイタ モーメントと子音”t” と 母音“a”が連なり”ta”「タ」と発音されます。つまり、語尾が子音の単語に語頭が母音の単語が続くと、リエゾンが起こり、発音に変化が起こります。
- Wait for a moment. 問題ありませんね。
- I will wait for a moment. “will”と言い切る表現は、日常会話ではあまり使用しないようです。かなり、覚悟をして強い意志を表す時に使うようです。ふつうは、”I’m gonna …”
- I’ll wait for a moment. “will”を使う場合でも、なるべく短縮形を使用しましょう。”’ll”の発音は速くそして弱い。
- I would like to wait for a moment. “want”よりも丁寧な言い方です。
- I’d like to wait here. 先の短縮形で、なるべくこちらを使用しましょう。”I’d like to”を一つの単語の様に早く「アドゥライクトゥ」みたいに発音します。”wait” の”t”と“here”の「ひあ」で”h”の「ひ」の子音は発音されず、ひの”Hi”の”I”が連なり、”ti”つまり「ウエイティア」と発音されます。単語の頭子音となる”h”は頻繁に発音されません。
- I’d like to wait there. これ以下、どんどん聞き比べて下さい。
- I want to wait here.
- I wanna wait here. 普通の日常会話では、これをよく使用します。
- I do not want to wait here.
- I don’t want to wait here.
- I don’t wanna wait here.
- I will not pay him. ここも”him” の“h”は発音されずに、「ペイィム」となります。
- I won’t pay him.
- I am going to wait for a moment.
- I’m going to wait for a moment.
- I’m gonna wait for moment. 普通の日常会話では、これをよく使用します。
- I’m gonna get him. ここも”him” の“h”は発音されずに、「ゲティム」(やっける)となります。
- I’m gonna get her. ここも”her” の“h”は発音されずに、「ゲタァr」(やっける)となりま
- I’m not gonna pay him. ここも”him” の“h”は発音されずに、「ペイィム」となります。
- I will not pay him. ここも”him” の“h”は発音されずに、「ペイィム」となります。
- I won’t pay him ここも”him” の“h”は発音されずに、「ペイィム」となります。
- Should I go now? 「シュダィ」と発音されます。
- Her name is Ann. 「イズ アンがイザン」と連なり発音されます。
- She is tall. 「シィィズ」と発音されます。
- She’s tall. 「シィズ」と発音されます。
- She is a teacher. 「シィィザ」と発音されます。
- She’s a teacher. 「シザ」と発音されます。
- I have been living in Bangkok since last June. 文頭から「アイ ハビ―ン、、、」と発音されます。
- I’ve been living in Bangkok since last June. 文頭から「アビ―ン、、、」と発音されます。
- You should have come here on time this morning. ”here” の“h”が取れて「カミヤ―」と発音されます。意味は、「あなたは、今朝ここに間に合うように来るべきだったよ」。
- You should’ve come here on time this morning.「ユシュドゥブ カミヤ―」と発音されます。意味は同上。
- You should not have come here late this morning. 「ユシュドゥノトハブカミヤ―」。意味は「あなたは、今朝ここに遅れて来るべきではなかったわ」
- You should not have come here late this morning.「ユシュドゥントゥブカミヤ―」。意味は同上。
- Let me drink it up. 「レットミー ドリンキタップ」又は、”Let”の”t”ガ落ちて、「レミ ドリンキタップ」とも発音されます。
- Check it out. 「チェキト アウ(ト)」。
キリがありませんので、これくらいにしますが、ポイントは、発音されると音が消えたり、音が変化したりする場合が頻繁にあることです。それを理解して、リスニングに応用します。
それから、リスニングの練習には、ご自身のお気に入りの映画をワンカットずつ、場面場面ごとに丁寧に分析していくような感じで、私が造語した精観(本を精読するように、映画の科白の英語を分析しながら観ること)することが非常に有効です。特に日常的な会話が頻繁に盛り込まれている映画をお勧めします。その一本をDVD画面の下に出るオンにした英語字幕を参考にしながら、全てワードかメモに書き写し、聞き取れない部分は、今日したように、英文読み上げサイトにコピペしてどんどん練習していけば、一本の映画を終えるころには、かなりのリスニングとスピーキングの力を自分のものに出来ると思います。
殆どの映画は、その映画名と”free film script 映画名”で検索出来ますので、お試し下さい。ここで一本お勧めしたいのは、本当に古い映画なのですが、ダスティン・ホフマンDustin Hoffman主演の 「卒業 (Graduate)」と言う映画です。上流社会の白人ばかりが出てくる映画で、アメリカのブロックバスターで借りたのですが、映画全編の科白の殆どすべてを聞き取ることができたのを思えています。ちなみにその原作本も読みましたが、最後まで辞書なしで読めました。初級の方にもこの映画と原作本はお勧めです。そして映画の無料の英語脚本は、下記でどうぞ、ダウンロードもできます。映画の科白と多少違う箇所もありますが、大部分の科白は同じようです。
The Graduate Script – Dialogue Transcript
http://www.script-o-rama.com/movie_scripts/g/graduate-script-transcript-mike-nichols.html
更に映画を見ながら、ワンカット(場面場面)ごとのMP3を作成して、通勤や通学時に聞いてみるのもリスニングの練習になると思います。どうぞお試し下さい。
これから始める「英語のリスニングのコツ」のまとめ
いかがでしたでしょうか? 今回は私のリスニングの練習方法の一つをご紹介しました。スピーキングとリスニングは、同時に連携して練習していくと非常に効果があります。聞き取れなかった部分は、練習後も中々聞き取れない傾向がありますので、今回ご紹介した英文読み上げサイトを利用して、発音変化や音の消失が起こるのをご自身が確認することが重要です。
それから映画についてもう一つ言わせて頂くと、今まで観た映画の中で、必ず一年に一度は見てみる映画が何本かあります。例えば、Thanksgiving Day (感謝祭)をそろそろ迎えるこの時期なら、アル・パチーノ主演の”Scent Of A Woman”という名作です。私を感動させる場面が満載のこの映画では、必ず今一度見たい場面で、その俳優になりきり、科白を喋ったりもします。場面場面の役者の気持ちを込めて、本当にその俳優にでもなったかのように、心を込めて喋るのです。その科白と言うのは、脚本家たちが選りすぐった素晴らしい英語の言葉なので、それを暗唱することが、私の英会話の上達に非常に効果があったと思えます。どうぞ皆様も、試して頂ければと思う次第です。
リスニングの練習につきましては、又、機会を改めて、ご説明させていただこうと思います。是非とも、今回ご紹介させていただいた方法を試して頂き、ご自身のリスニングの練習にお励み下さい。今回は、最後まで有難うございました。