みなさんは英語で「なるほど!」と言いたいとき、どう表現するのがもっとも適切だと思いますか?実は「なるほど」という日本語を厳密に英語に訳すのは難しいかもしれません。というのも英語では、話す相手やシチュエーションによって「なるほど」のニュアンスが変わってくるからです。
今回の記事では、英語で「なるほど」と言いたいときに使えるフレーズを、シチュエーション別にご紹介していきたいと思います。
日常会話の「なるほど」
会話をしている間、単なる相槌として「なるほど」という言葉を使っている方は、案外たくさんいるのではないでしょうか。この場合の「なるほど」は、相手の言っていることが正しいと思ったりしたときに出る言葉だと思います。英語では、次のような言葉で同じような意味にすることができます。
- True. (本当に)
- Right. (正しいね)
- Indeed. (たしかにね)
これらの表現は、日本語の「なるほど」と同じくらいの短さで、簡単に相手の発言への同意を表すことができます。あまり会話のじゃまにならないので、日常会話での相槌としてとても使い勝手の良い言葉です。会話の中での例を見てみましょう。
-Watching TV programs online is very useful.
(オンラインでテレビ番組を見るのってとっても便利。)
-True. But some of them are illegal and you have to be careful.
(なるほど本当にそうだね。でも違法なものもあるから気をつけたほうがいいよ。)
-I think you should have told it to us beforehand.
(そのことを私たちに事前に伝えておくべきだったんじゃないかな。)
-Right, sorry.
(なるほどそうだね、ごめん。)
例文では「なるほど」のあとに更に言葉をプラスしてニュアンスを付け加えましたが、単にTrue, Right, Indeedだけでも使うことができます。
納得の「なるほど」
上記の相槌としての「なるほど」と少し似ていますが、ここでご紹介するのは、相手の説明や解説に対して、「ああ、わかった、なるほど」と、自分がきちんと相手の発言を理解したときに使う「なるほど」です。英語では次のような表現が挙げられます。
- I see. (わかる/わかった)
- I understand. (わかる/わかった)
- I got it. (わかった)
- That’s why. (そういうわけか/だからか)
- That makes sense. (意味が通じる/理にかなっている)
上の3つは、I (私は)という主語があることからもわかるように、「私は理解しました」ということを明確に表すことができます。3番目のI got itは、口語的な表現なので、特に会話ではよく使われます。
一方、残りの2つの表現は、あまり聞いたことがないという方もいらっしゃるかもしれません。まず、That’s whyというのは、文字通りに訳すと「そういう理由で」という意味になります。That’s whyのあとに文章を続けることもできますが、単体で使うこともできます。これは相手が理由を説明したときの対応としてよく使われます。簡単な会話の例を挙げてみましょう。
-Why did you come by bus today?
(なんで今日はバスで来たの?)
-Because trains were all cancelled due to the heavy rain.
(大雨で電車が全部キャンセルになったんだよ。)
-Ah, that’s why (you came by bus).
(ああ、だからか。/だからバスで来たのか。)
それから、最後のThat makes senseという表現も非常に便利です。これは、直訳すると「意味が通じる」ですとか「筋が通る」、あるいは「意味がある」となります。しかし、会話においては、相手の発言が理にかなっていて、充分に納得できるものであるときによく使われます。例をみてみましょう。
-The kanji for ‘FU’ in ‘fudan’ is the same as that of ‘futsuu.’
(「普段」の「普」という漢字は、「普通」の「普」と同じです。)
-Ah, that makes sense!
(ああ、なるほどね!/理にかなってるね!)
このように、「なるほど」という言葉1つとってもたくさんのニュアンスがあります。会話の流れによって使い分けると良いでしょう。
ビジネスでの「なるほど」
「なるほど」という日本語は本来、相手の言ったことを評価し、正しいと思って同意するときに使う言葉です。ですので、ビジネスのシチュエーションや、特に目上の人に対しては、あまり使わないほうが良い言葉です。しかし、相手の言ったことに対して自分が理解できているということを伝えたり、同意を表したいとき、英語ではどのように言えば良いでしょうか。
まず1つ目は、最初の例でも挙げた、I understandという表現です。とても簡単ですが、自分が相手の発言を理解したとき、丁寧にかつ目上の人にも使える言葉です。例を挙げてみます。
-There is a coffee machine in our kitchen, which you can use anytime.
(キッチンにはコーヒーマシーンがあって、いつでも使うことができますよ。)
-Oh, I understand. That’s great.
(ああ、なるほど、わかりました。いいですね。)
また、I agree (with you)という表現も、普段からよく使われます。これは中学レベルの英語で習う表現でありながら、もちろんビジネスのシチュエーションでも使うことができます。文字通りに訳せば、「あなたに同意する」ということなので、相手の意見に納得して賛成しているときに使います。例をみてみましょう。
-We should have more employees who can work full time.
(フルタイムで働ける従業員をもっと増やすべきですね。)
-Yes, I agree (with you).
(はい、そうですね。)
agreeのあとのwith youは省略することもできますし、with your opinionなどとより詳しい情報を付け加えて使ってもOKです。
最後に、I concur (with you)という表現をご紹介します。これは、筆者も最近まで知らなかったのですが、IT企業で働くイギリス人の友人が使っているのを聞いて初めて知りました。前途のI agreeよりもややかたい表現ですが、同じように相手への同意を表すことができます。例文はこちら。
-As far as I’m concerned, there is no need for improvement.
(私がわかっている限りでは、改善の必要はありません。)
-I concur (with you).
(同意します。)
これは先ほどのI agreeと同様に、with youは省略も可能ですし、with your opinionなどと付け加えることももちろん可能です。ただ、これを使うときにはアクセントに注意しなければなりません。Concurのアクセントは2音節目にあるので、「コン・カー」の「カー」の方を強く発音しなければなりません。もし1音節目の「コン」を強く発音してしまうと、conquer「屈服する」という違う単語に聞き間違えられてしまう可能性があります。注意しましょう。
ビジネスメールでの「なるほど」
最後に、上記で挙げた会話での「なるほど」を、メールで使いたい場合にはどうしたら良いかを考えていきます。そもそも、メールや書き言葉における英語は、言葉を省略せずに完全に書くことが基本です。最近はあまり気にしない人もいるかもしれませんが、I’m なども省略せずにきちんとI amと書くことでしっかりとした印象になります。ですので、これまでにご紹介してきた表現も、省略しないで書くことによって、メールでも使用可能な表現に変えることができるのです。
例えば、1番最初に挙げたTrueという相槌の会話例をメールで使うとしたら、以下のようになるでしょう。
-It is true that watching TV programs online is useful. However, some of them are illegal.
(なるほど確かにテレビ番組をオンラインで見るのは便利です。しかし、中には違法なものもあります。)
このように、It isから文章を始めて、that以下には相手の発言を繰り返して組み込むようにすれば簡単です。それから、I seeやI understandといった表現も、それ単体で使うのではなく、何に対して「なるほど」と思ったのかを付け加えることが大切です。例を挙げてみます。
-I see your intention. It would be great if you could send your CV to us for further reference.
(あなたの意図はわかりました。今後の参考のため履歴書を送っていただけると幸いです。)
-I understand that you cannot finish the job by tomorrow.
(明日までに仕事を終えることができないという旨、承知いたしました。)
これ以外にも、もちろんI agreeやI concurという表現も、that節を付け足して丁寧な言い方にすることができます。
-I agree that we should have more employees who can work full time.
(フルタイムで働ける従業員をもっと増やすべきだということに同意します。)
-I concur that there is no need for improvement.
(改善の必要はないということに同意します。)
まとめ
これまでの例からもわかるように、日本語の「なるほど」という表現は意外に英語に訳すのが難しく、また会話の流れによってニュアンスも変わってきます。ですので、「なるほど」イコール英語の◯◯と、完全に決めてしまうよりも、ここに挙げたフレーズの1つ1つの意味をしっかり理解した上で、適切なシチュエーションで適切な「なるほど」を柔軟に使えるようになると良いでしょう。特にビジネスでは、ちょっとしたニュアンスのせいで相手を怒らせてしまい、問題が起きてしまう可能性も充分にありえます。円滑なコミュニケーションのためにも、どの表現が丁寧でどの表現がそうではないのかは、最低限知っておくようにしましょう。