英語の発音のコツ|初心者でも円滑に話せるようになる方法

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英会話を勉強するにあたり、どうしても気になってしまうのが英語をどのように上手に発音して相手に伝えられるのか、ということです。日本人の英語は、ネイティブスピーカーの外国人から見ると相当にクセがある「ジャパニーズ・アクセント(日本語訛り)」として捉えられています。

これには厳密に考えていくと日本語と英語の音声学的な違い、すなわち言語を発音する際にどのような口の使い方をするのか、にまで話を進めることが出来るくらい深い内容の話になるので、それはここではひとまずおいておきましょう。

非ネイティブの日本人が英語を発音するのにはどのような問題があるのか、一般的な英会話でどのように英語を上手に発音すればいいのか、日本人的な英語のクセ、訛りをできるだけ少なくするにはどのようにすればよいのかを、この記事ではお伝えいたします。

英会話で発音がどうしても上達しない理由

突然ですが、英会話を始める前に、日本人のみなさんの多くが気づいていないことがあります。それは何かと言うと、日本語という言語そのものの「クセ」です。

「えっ、日本語にクセがあるの?英語じゃなくて?」と思った人がいたら要注意です。日本語は世界の中でも非常にクセのある言語として有名なのです。確かに一億数千万人がこの日本語という言葉を使用していますが、それはあくまでも日本という小さな島国の中での話であり、世界73億人の人から見てみると73分の1。世界を730人の生徒が暮らす学校だとしたら、たった10人の特別な言葉を使うクラスの中で話されている異質な言葉なのです。

そしてその中で発達・発生した日本語の発音、一般的には50音の組み合わせによる表現も、世界の中では独特です。大まかに考えるともともと古代の日本人が漢字に当て読みをつけていったものが近代以降「カタカナ」として定着したわけですが、これはお隣中国から見ても「漢字に勝手に変な読み方を作り上げた」と考えられるレベルです。

こうした海外から取り入れられたものを日本人にわかりやすい表現で作り直す、という伝統は日本人のお国芸、長所でもあり短所でもあるのですが、その技を英語の読みにも使ってしまい、「ディス イズ ア ペン」「マイ ネームイズ…」などと表記してしまっているのが現状です。これは実は相当英語に対して失礼な覚え方であるのをおわかりいただけるでしょうか?

なぜカタカナ発音ではダメなのか

カタカナで読む英語は基本的に英語を「英語のありのまま」で受け入れたものではありません。古代に漢字を日本語の中に取り入れていったように、「日本人が日本人の使いやすいように英語を日本語に読み直した」英語とは何か別のものなのです。

和製英語という言葉をどこかで耳にした人も多いかと思いますが、この概念が上述の「英語ではない何か別のもの」と考えてよいでしょう。日本人が英会話で多用してしまう英単語はこの和製英語であることが多いのです。

例えばcomputerという単語を考えてみます。これは日本人だと「コンピューター」と普通に発音してしまいますね。しかしこれではネイティブの人たちに「おやおや、日本語訛りがきたぞ」と判断されたり、「con-pyu-tar?なんだそれは?」と不思議がられたりしてしまいます。何回か話して、パソコンそのものを指差して「ああ、それのことか」と納得してもらうのが関の山です。これでは、英会話ではなくてジェスチャーに近いですね。

英語の発音とカタカナ発音の違い

 なぜこのようなことが起きるのでしょう?それにはやはり、カタカナという発音の仕組みが英語の発音とはまったく違う、という意識、つまり冒頭にお話した「日本語は異質である」という客観視をする姿勢が必要になります。

 Computerという単語を英語の発音そのもの、発音記号で表現すると、kəmpjúːɚとなります。これはどのように読めばいいのか、カタカナで発音すればよいのか、みなさんにはおわかりでしょうか?

 なんとかしてカタカナでこの発音記号を読んだ表現を作るなら、「クェムピューテァ」と言う表記が適当になるかと思います。日本語の中では一般的に見受けられないような書き方ですね。このような発音をしている人がいたら、日本人のコミュニティだと「うわっ、なんだこいつ、ちょっと変だぞ」と思われてしまうことでしょう。

 ここが肝心です。日本人同士だと「変だな」と思ってしまう発音、それが実は世界では正しい発音として受け入れられているのです。それが事実です。もしネイティブスピーカーのご友人がいらっしゃる人がいたら、その人に上の二つを発音して見せて、どちらが英語としてネイティブに受け入れられるかを確認してみてください。ほぼ間違いなく「クェムピューテァ」だと言ってくれるでしょう。

 これが事実です。カタカナ発音は世界では通じない。730人の世界であったらその中のたった10人が「何かクェムピューテァってうちらだと発音しにくいよね。内輪ではコンピューターって読みで通そうよ」と勝手に決めてしまっている。それがカタカナ発音なのです。

2.英語の発音に近づける「真似」

本気で英会話を身につけたいと思っているのならば、上に話したようなカタカナ発音だけはどうしても避けなければいけません。

確かに、言葉の端々でカタカナ発音が出てくるのは仕方がないですし、極論すればネイティブではないのですから、多少の発音の齟齬があるのは然るべきでしょう。

ですが、会話の頭っから「アイ・アム・ア~」などと和製英語で通してしまっていると、さすがに例の「73分の1」発音でゴリ押ししているような感じがして、なんとも無粋な印象を与えます。一生懸命伝えようと言う気持ちがあっても、意志が疎通しない場合だってあるのです。

発送を転換してみます。ネイティブスピーカーが日本語を英語のような発音で話して「これが日本語だ」と言うような素振りでいたら、やはり日本人としては苦笑いしながら「ちょっと待ってください」と言いたくなりますよね。これと同じようなことが日本人のカタカナ英語にも言えるのです。

ではどうやってネイティブの発音に近づけていけばいいのでしょうか?

王道はやはり、辞書の英単語の隣に併記されている発音記号を覚えていく、というものになるでしょう。英単語ごとに地道に発音記号を覚え、反復し、練習することで、日本人の使うカタカナ英語ではない、ネイティブ発音の英語に近づけて行くことができます。

しかし、この方法には難点もあります。それは時間がかかること。高校卒業程度の日本人が習得していると想定される英単語の語彙は4000文字程度ですが、その4000文字すべての発音記号を覚えるというのはなかなかに気が遠くなる作業でしょう。敢えてやる人がいたらそれは特殊な技術の一つとして英語を極めたいマニアの粋に達するものとも言えます。

そうなると、もっと簡単にできるコツはないか、という話になります。ここでは敢えて筆者は「ある」と断言させていただきます。

その方法とは端的に言ってしまえば「真似る」です。

とにかく音読で真似をする

一言に「真似る」と言っても漠然としすぎてわかりづらいかと思いますが、より簡単に言うと、誰かが話している英語を真似て自分の中に取り入れていく、という作業です。

そのコツはどこにあるのか。これは英会話の中ではなく、英語をひたすら音読するというトレーニングの中にあります。

英会話そのものに焦点を当ててしまうと見えづらいことですが、一般的な日本人には英語を英語として受け入れるリソースが不足しています。これは言い換えると、英語を自分の中で違和感のないものとして受け入れる余裕としてもよいでしょう。すなわち、英会話が何やら異質なカタカナの集まりであると判断するのではなく、「ああ、いつも通りの言葉だね」と受け入れる素地のことです。

この素地は人間の脳内、海馬の記憶ベース内に作られます。英語が英語として、カタカナに変換されずそのままスっと理解できるようになるには、日本語と同じように「無意識に英語の発音を理解して使用できる」という状態まで記憶力を高める必要があります。

そのためにするちょっとした練習として最適なのが、音声付きの英語テキストを音読して真似る、というものです。

思考を帰ると、自分が国語の授業や日常的な生活で触れてきた日本語を英語に置き換えていく作業であるとも言えます。国語の授業では音読をさせられることが多いかと思いますが、それを自分で自分にやらせてみるということです。「子供が言葉を学ぶ過程を凝縮する」と言う例えのほうがわかりやすいでしょうか。

まずは薄い本、例えばニュースのテキスト化されたものでもかまいませんから、音声を流し、英文を目で追い、そのあとに朗読をする、という、英会話よりも少し密度の濃い「音声トレーニング」をしてみましょう。

シャドーイングこそ発音を鍛える

テキスト音読になれてきたら、今度はシャドーイングです。シャドーイングとは流される音声を即座に追いかけていく発音練習です。英語の発音をその場で物真似するというレベルのもので、かなり難易度が高くなります。

いきなり未知のテキストにシャドーイングを試みると失敗するだけですから、まずは今までに音読で使用した教材などを利用してシャドーイングを試みてみましょう。音声が流れたらすぐにその音声と同じ速度で、同じ発音で、カタカナを使わずに、とにかく真似してみてください。数ページ分を一日に3回くらい反復すると効果的です。

テキスト音声のシャドーイングに慣れてきたら、次は英語ニュースなどの音声を流し、テキストなしでシャドーイングを試みてみましょう。今ならYouTubeなどで手軽に英語圏ニュースの動画が手に入りますから、それを利用して見てください。一回目のシャドーイングが終わったらすぐに字幕を確認してもう一回字幕を見ながらシャドーイングします。

最初は英語の音声についていけず、発音や単語で間違いだらけの、何を言っているか自分でも理解できない状態での練習になるかと思いますが、それで構いません。「習うより慣れろ」、の精神で、一日30分でも構いませんから、こうしたトレーニングを続けてください。

シャドーイングの練習が終わって英語になれ、英語への違和感が消えてきたら、そこからが本番です。今度はその発音を意識しながら、カタカナ英語ではない英語の発音で、勇気を持ってネイティブスピーカーと話す段階になります。ここからのコツは「度胸」になります。

3.実際に会話してみよう!

実際に英会話をする上で、テキストもなにもない状態で上手に発音するというのは、なかなかに難しいものです。今までは日本語的な発音で何とかやり過ごしてきたものを、本格的な発音に変えていくわけですから、自信もなく、おっかなびっくりになってしまうのがほとんどでしょう。

しかし、しっかりと音読やシャドーイングをしてきたなら、頭の中には「正しい発音で読まれた英語」を思い出すネットワークが出来ていますから、恐れる必要はありません。まずは失敗を恐れず、他の日本人の目を気にせず、慣れた英語そのものの発音での会話挑戦してみてください。

もしどうしても二の足を踏んでしまうようであれば、英語を話さなければ仕事ができず生活に困る、と言うような架空の設定を作って、自分に追い込みをかけてみるのも一つの手です。実際にそういう場面も増えてきていますが、外国人とお金のやり取りをうる、その時にお金の数え方が正確に伝わらないと困る。頑張って正しい発音で伝えるんだ、と言うモチベーションを作ることが重要です。そして何よりも「失敗しても直せばいい」と言う度胸です。これがなければ発音は上達しません。

リズムとテンポに乗ろう

さて、単語の発音が上手になっても、実は単語だけでは英会話の発音は上達しません。英語には英語独特のリズムがあるからです。

日本語に目線を変えるとわかりやすいのですが、日本語には「七五調」という言葉のリズムがあります。音が七つと五つで切れる言葉のリズムで会話が組み立てられる法則です。

これと似たようなものも英語には存在していて、それが「フレーズ」のリズムです。大体英単語にして3から5くらいの塊で一つの句が構成され、その単位ごとに意味ができ、会話が組み立てられていくという流れがあります。

これは音読やシャドーイングをしているとわかるのですが、ネイティブの英会話はこのリズムで音声が区切られています。

例えば日常会話としての挨拶を考えてみましょう。「Good morning sir, are you fine?」と言う英文は、それぞれ3単語ごと、3から5の母音で構成されています。この基本リズムはそのまま英語そのものの発音に直結しています。

どういうことか。カタカナで今の言葉を読み直してみましょう。「グッドモーニングサー、アーユーファイン?」となりますが、長すぎて英語のリズムとは言えませんし、音の数が増えすぎてしまって発音どころではなくなります。

音読やシャドーイングで元々の英語の発音とリズムに慣れた後だと、この区切りのリズムが自然に身についています。英語の発音もカタカナの読みから離れ、ネイティブの会話のテンポに即応できる状態にまで高められていることでしょう。

英会話を一つの即興セッションだと考え、それに乗って相手に自分の演技を返していく、まるでカラオケのデュエットに近いものとして意識してみてください。リズムは七五調ではなく、英語の「フレーズ感」でいきましょう。

おわりに

英語の発音を向上させるコツについて今回は語らせていただきました。第一にカタカナ発音は世界標準ではないこと(意識改革)、第二に英語の発音を真似ること(音声の記憶をする)、第三にそれを臆せずリズムに乗って実践すること(音声を実際に発音する)、これらが英会話の発音を向上させるコツです。特に音読やシャドーイングが実践で難しいと感じられると思いますが、一日30分でもいいので、この方法を試してみてください。劇的に発音力が向上するはずです!

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