今から英語を学ぼうとされている方、今までの学び方ではリスニングの壁を乗り越えられないという方、英会話スクールに通っているけれど、しっかりネイティブとコミュニケーションできるほどリスニング力を上げるには後どれくらい通う必要があるんだろうと思った事はありませんか?中には英語をたくさん聞き流すだけで、いつの日か英語のリスニングができるようになる。といった事を信じている方もいるようですが、残念ながらそのような事はありません。しかし英語のリスニング力を向上させる近道はあるのです。英語がクリアに聞き取れるようになるのに最短の道を選びませんか?
1.リスニングの壁!英語が聞き取れない3つ理由
英語圏の小学生も学ぶのに日本人があまり意識していない音節
「長年リスニングには力を入れているのに一向に聞き取れるようにならない」「なんとなくわかった気がするけど本当に理解できてるの?」など、リスニングの壁にぶつかっている人は多いと思います。日本人が英語の聞き取りが苦手な1つ目の理由は英単語を覚える時に音節を正しく理解せずにスペルを見て発音し、なんとなくで覚えている事が大きな原因の一つです。
日本語の50音には全て母音が含まれています。音節(Syllable)は母音の数のまとまりで数えるので日本語のように母音と子音がセットで構成されている言葉は音節の数が多くなるのです。例えば salad は母音が2つなので2音節ですが、日本語で発音する場合はサ・ラ・ダと3つの音で構成されている事がわかります。音節を意識して英単語を覚えなければただでさえ早く感じるネイティブの英語を音節の多い日本語風の発音で学んでいるとスピードについていく事ができなくなります。
サラダのような外来語でなくても英単語を覚える時は何音節であるか、またアクセントも意識して声に出して自分の口で発音しながら音から覚える事が後でリスニングの壁にぶつからない大切なポイントです。
音節を意識する大切さは日本人の英語学習者に限らず、アメリカの小学校でも学びます。3年生でアメリカに引っ越した息子も英単語を何音節かに分ける宿題を何度も出されていました。音節を意識する事はネイティブの子供たちにとっても学ぶべき大切な内容なのです。
変化する英語の音についていけますか?
英語は日本語のように表記されたものをシンプルに音声にする事ができる言語とは異なり、母音と子音の組み合わせや様々なパターンで多様に音が変化する言語です。英語には「th」や「r」の日本人に難しい発音はもとより、「母音と子音が繋がって違う音になり聞き取りにくい音」「母音と子音の組み合わせの種類によって変化する音」など多くの音の変化があります。分かりやすい例で言うと、「better」のように 「t」 の発音が母音で挟まれている場合、「t」には聞こえず「l」もしくは「d」に近い音に変化します。
残念ながら今の現在日本の学校では音の変化に対応できるような学びをする事はありません。これらの様々な音の変化を聞き取る事ができないのが、リスニングが伸びない2つ目の理由です。またその変化を全て頭で覚えようとすると終わりがないのでおすすめできません。しかし基本的なパターンやルールは頭に入れておいた方が、基礎文法があった方が英語の習得が早いのと同じように効果的です。
本当に使いこなせる語彙力とは?
英語の聞き取りができない3つ目の理由は、単純に語彙が足りていないという人が多いように思われます。基本的な英語やある程度の語彙があっても時折キーワードになるような大切な英単語が理解できないと話の流れについていけないという事になります。
しかし語彙を増やすためにただ英語をたくさん聞き流すだけでは語彙は増えていきません。語彙を増やすには正しい発音を自分の口で発音して、センテンスの中でどのように使われているのかを体得する必要があるのです。そうゆう意味では留学や海外ドラマを見る事はリスニング力の向上に一役買いますが、大切な事は順番で言うと「その前に英語の発音を正確に体得する事」です。
後でも語彙を増やす効果的な方法でお話ししますが、新しく英単語を覚える時は意味を確認するよりもまずその英単語を発音できるようにします。自分で発音できる音は聞き取る事ができますが、発音できない音は聞き取りも非常に難しいのです。そして聞き取れる英単語の意味を頭に入れるのは、スペルから意味を覚えるよりも早く脳の奥深くに定着するのです。
日本人の子供も大人のように話せるけれど、その言葉の意味や内容はまだ理解できていないという事があります。自分の口で発音できる英単語は後から意味を確認すれば頭にスッと入ってくるので、一気に覚えようとせずにまずは発音できない英単語を正確に発音できるようにするのが近道です。
アメリカの小学校では英単語のスペルのテストが日本の学校で漢字テストがあるように、しょっちゅう行われます。しかしその中身はスペルの意味を理解するというよりも、先生が発音した音を正確に書き取れるかどうかが中心で、最も大切な事は英語の「音」の成り立ちを体得する事です。頭で理解するのではなく「体得」するのです。なぜならそれは日本語でも言える事ですが、ある程度のパターンはあっても特殊ルールや変形など無限にあるものは、頭で覚えるよりも体得するのが一番の近道になるからです。
それでは一度想像してみてください。日本語を学んでいる外国人がいるとして、「大根を大きくざっくり切る」という日本語を正しく発音できない外国人がその意味を把握するのは結構難しい事だと思いませんか?まずは正確に発音できるようになってから、英単語の意味や発音のルールなど頭で確認する作業を行ってください。一気にせずに、少し期間をあけてから行う方が効果が上がります。
2.海外ドラマは日常会話の宝庫
映画より海外ドラマがいい訳は?
実際に使われている本物の英語に慣れるために映画や海外ドラマで学習するのはとても効果的です。その効果を上げるためにはやはり継続が必要になってきます。映画に比べると海外ドラマは数シーズンあるものが多く、教材として長く使う事ができるのが魅力の一つです。
登場人物同士の関係や名前、性格を把握したりするのは楽しいですが、英語の学びとはまた別の事になるので、なるべくあちこち見ずに自分にあっとものを選んで会話そのものに集中して学ぶ方が効果が上がります。海外ドラマを選ぶ時はストーリーの好きな物もいいですが、好きなキャラクターがいるドラマが効果的です。何度も同じシーンを見て真似てみたりするのに飽きがこず、続けやすいからです。
初心者の方
- まずは英語の音声で日本語の字幕付きの物を見ます。
- その後で英語の音声で英語の字幕付きの物を見て、一時停止を使いながらメモを取ってわからないところや気になるところは調べます。
- 最後に英語の音声だけでストーリーを見ましょう。
中級の方
- まずは英語の音声のみで想像力を働かせて見ます。
- その後で英語の音声で英語の字幕付きの物を見て、一時停止を使いながらメモを取ってわからないところや気になるところは調べます。
- 最後に英語の音声だけでもう一度ストーリーを見ましょう
違いは初級の方は分かる部分が少ないと、ストーリーを想像できずにおもしろくなくて続かない事があるので、初めに日本語訳付きの物を見ます。音声は必ず英語を選んでください。初級の方でも必ず字幕付きの物を見なければいけないという事はなく、いずれも自分に合った方法を見つけるのが近道です。中級以上の方もストーリーがほぼわからない場合は日本語訳で内容を確認してから次のステップに進みましょう。
登場人物になりきるモノマネ効果とは?
しなくてもいいですが、海外ドラマの登場人物の話し方や顔つきまで真似てそっくりコピーできるようになればスピーキングやリスニングの力がかなりついてきます。子供は英語の習得とは関係なしに自然にアニメのキャラクターそっくりの喋り方になる時期があり、息子は一時期言い回しから発想まで英語アニメのお気に入りのキャラクターそっくりになってしまいました。普段から教育に良いアニメを選んで見せておくべきですね。(笑)いうまでもなく、子供はものまねが得意なので、英語の新しい表現や、言い回しを友達やテレビからどんどん身につけていくので英語の習得は大人に比べてとても早いです。
レベル別海外ドラマの上手な選び方
初級の英語学習者には「フレンズ」や「フルハウス」が比較的簡単なのでおすすめです。「フレンズ」は、主な登場人物の話し方がわかりやすく、聞き取りやすい英語なので初心者でも楽しく学ぶ事ができます。「フレンズ」に出てくる会話からイディオムや笑いの感覚、普段のネイティブの日常会話がたくさん学べます。「フルハウス」は子供と大人の会話が多いので、わかりやすく良い教材になります。「フルハウス」の放送終了から20年を経て新しくスタートした「フラーハウス」も「フルハウス」が好きな人なら楽しく学ぶ事ができると思います。当時の子供が大人になってお馴染みのキャラクターも登場し、「フルハウス」同様明るく心温まるストーリーで英語が学べます。
初級から中級の方には「The O.C.」 、「ママと恋に落ちるまで」(How I Met Your Mother)がリスニング力アップに役立ちそうです。「The O.C.」は日常会話が多く、ストーリーが面白いので感情移入できて記憶に残りやすいのでおすすめです。「ママと恋に落ちるまで」は2005年~2014年にアメリカで放送されていたコメディーで、「フレンズ」や「フルハウス」と比べると新しい英語の表現を学べるのが嬉しいポイントです。医療系のドラマは専門用語が出てくる事があり、難しいところがありますが、医療系にお勤めの人には良い教材になるかもしれないです。「グレイス・アナトミー」は医療系のドラマの中では優しく分かりやすい英語が使われているのでトライしてみるのもいいかもしれないです。
3.その他リスニングに効果的なアプローチ
効果的に脳に定着させる語彙の増やし方
英単語は単体で覚えるよりもセンテンスで覚える方が記憶にしっかりと定着するのでおすすめです。状況的に使わないようなセンテンスは実際に使いそうな状況に単語を変えて覚えると、より深く記憶に定着し、忘れにくくなります。例えば下記は海外ドラマ「glee」に出てくるセンテンスの1部ですが、
「I don’t want to leave high school with nothing to show for it. 」という主人公のセリフがありますが、あなたが社会人なら「 high school 」の部分を「 my job」 に置き換えて、 「I don’t want to leave my job with nothing to show for it. 」
(何の成果も残さずに仕事を辞めたくない)
というように「 nothing to show for it.」の使い方を覚えるのに現実味のあるセンテンスに作り変えて覚えます。英単語単体で覚えたり、自分で英作するよりも、覚えたい例文から英単語を抜き出して覚える方が効率的で楽しく確実に語彙を増やしていく事ができるのでおすすめです。
英単語を覚える時はスペルは同時に覚えずに、発音できるように音読してから意味を後で確認するようにしましょう。一気に覚えてしまおうとするよりも、忘却曲線を意識して忘れてしまう前に別の日に覚えた英単語を眺めるようにするのが効果的です。その際必ず自分の口で発音するようにしてください。
英語の語彙を効果的に増やすには下記の順番をおすすめします。
- 音声教材を使って音読(音節やアクセント、口の形を意識してコピーするように綺麗な発音で)
- 意味を確認する(一気に暗記しようとせずに意味を確認する程度)
- 忘却曲線を意識して復習する(忘れる前に復習して長期記憶に入れてしまう)
レベル別プラスαでリスニング力アップの学習方法
初級から中級
オーバーラッピングとシャドーイングを組み合わせる方法が効果的です。シャドーイングは初級の人には難しいので、英語を学び初めたばかりの人はオーバーラッピングから挑戦してみてください。オーバーラッピングはテキストを見ながら音声教材と一緒に発話する方法です。テキストを見ながらなので、シャドーイングよりは難易度が低くなります。中級の方はシャドーイングの前にオーバーラッピングをしておくとシャドーイングがしやすくなり、両方する事で相乗効果が期待できます。
中級から上級
ディクテーションは英語を聞いて書き取る作業なので語彙力がなければ難しいですが、ある程度語彙力がある場合は集中して英語を聞き取る力がつき、自分の弱点を知る事ができます。聞き取れなかったところは後ほど集中的に学ぶ事ができるので、効率の良い方法です。しかしリスニング力を向上させるには自分の口で発音する事が最も大切なので、ディクテーションと一緒にシャドーイングも行ってください。
いずれもリスニング力のレベルアップのためのプラスアルファの学習方法です。シャドーイングやディクテーションはコツをつかむまでは時間がかかるので、語彙を増やすのには音声教材を使っての音読は欠かせません。
聞き流すだけの受動的な学びとの決別
リスニングの効果を上げるために様々な方法がありますが、ただ長時間英語を聞き流すという方法では英語の聞き取りができるようにならない事は皆さんご承知の通りです。聞き流すだけという方法では記憶に引っかかりにくく、効率的ではないのです。
なので能動的にアプローチしていかなければ留学をしたとしてもリスニング力が伸びない場合があるのです。留学では英会話に大切なその国の文化や英語的な考え方を学ぶ事ができるので、リスニングが伸びなくても利点はたくさんあります。でもせっかく資金を使って留学するのなら短期留学は短期なりの長期留学ならなおさら留学中にリスニング力を手に入れたいですよね。もちろん留学する予定のない方も正しく効果的なアプローチでリスニング力を手に入れる事ができるのでご安心ください。
音声教材を使って音節や音の変化を意識しながらセンテンスを丸ごと音読する方法で語彙を増やせば、英語の語順や言い回し、皮肉的な表現、音の変化などを自然に習得できます。英語脳ができれば後は単語同士の紐付けがしやすくなり、会話の流れの予測力も向上するのでだんだんと英語の学びが楽になり、もっと楽しくなってきますよ。
語学の学びは能動的に学ぶ事によって、脳が情報を関連づけて効果的に働いてくれるようになるのです。リスニングは無理だと諦めかけていた方、正しいアプローチで組み立てた自分にしっくりくる方法で、もう一度チャレンジしてみてはいかがですか?