「どうもリスニングが苦手なんだよね…。」
英語を習得するうえで、こんな悩みを抱えていらっしゃる方は多いことでしょう。日本人は、一般に文法は得意なのですが、リスニングに弱い傾向にあります。
その原因は、私たちに問題があるからではなく、日本の英語教育が、リスニングに重点を置いていないからであり、ごく自然なことなのです。また、ごく一般の日本人は、島国である日本に住んでいるために、ナマの英語に触れるチャンスは、ほとんど皆無といっていいでしょう。
なので、リスニングが弱点なのは、無理もありません。
しかし、リスニングができないと、そもそも会話が成立しません(><)!
相手が何を言っているか判らなければ、お手上げです。ですので、リスニングを抑えるのが、英語上達のキモといってもいいくらいなのです。リスニングは、英語学習において、極めて重要であるにもかかわらず、ほとんどの方が、確実かつベストな方法が判らないために、苦手なままでいるのです。
リスニングが苦手なために、こんな経験はないでしょうか?
- 海外旅行中、レストランでウェイターの言っている意味が判らず、オーダーしていないものが出て来てしまった。
- 職場で、取引先企業の相手の言っていることが判らず、交渉が上手くできなかった。
リスニング力を鍛えれば、こんな状況は、カンタンにクリアできるのに、ホントに勿体ない!
その『方法』を、知りたくはありませんか?
大丈夫です(^^)!
これからご紹介する方法をきちんと実践すれば、あなたも確実にモノに出来ます!
『聞き流すだけでOK』は、大ウソ!?
『聞き流すだけで、OK』というメソッドを提唱していらっしゃる企業や個人がいらっしゃいますよね。
考えてみましょう。
高度な物理学の公式を毎日聞き流しているからといって、その意味や使い方をごく自然に理解できるようになるでしょうか?無理ですよね?
稀に、素養のある方は、例外としてあり得るかもしれませんが、普通の人には、常識で考えたら、 ムリな話です。英語のリスニングも同じこと。リスニングにおいても、『学問に王道なし』が当てはまるのです。
ただ聞き続けていても、お経と同じく、意味のないものとして、右の耳から、左の耳へと通り抜けていくだけです。
(もっとも、お経は功徳があるでしょうが。)
確実な方法をとらなければ、単なる時間とお金のムダになってしまいます。しかし、だからといって、リスニングを上達させる方法が、特殊な方法であったり、難しい方法だったりするわけではありません。
リスニングを確実にモノにする方法とは?
では、リスニングを確実にモノにする方法とはなんでしょうか?
それは、ディクテーション。これに尽きます。
俊足のランナーになりたければ、走るトレーニングをする。卓越したスケーターになりたければ、スケートのトレーニングをする。これは、それと同じくらい、ごく当たり前のことなんです。
でも、この当たり前のことをしないので、リスニング力が向上しないままなんです(><)!
とはいうものの、ディクテーションには『ベストな方法』と『コツ』があります。それを、これから詳しくお話ししていきますね。
ディクテーションには、教材選びが重要!
いざ、ディクテーションをしようとしても、教材、すなわちメディアがつまらないと長続きしません。ディクテーションする内容がつまらないと、それをすること自体がストレスになり、途中で放り出すハメになってしまいます。
こうなると、それがネガティブな体験としてインプットされ、「やっぱり私はリスニング無理なんだ…」という苦手意識をさらに強めてしまう可能性もあります。
そこで、おススメの教材ですが、ズバリ、『映画』です。
これが、ディクテーションを楽しいものにするコツなんです(^^)!
映画は、みなさんご存じの通り、ほとんどが莫大な費用を投じ、綿密なストーリーラインで制作された最大級のエンターテインメントです。ハリウッド映画などは、その最たるものですね。
セリフも、才能あるスクリーンライターによって、個々の場面で最大限の効果を引き出すよう、創作されたものです。
また、観客に理解してもらえないと話になりませんので、俳優は、明瞭な滑舌で、文法的にもきちんとした英語を話しているのです。(稀に、敢えて誤った文法を使用するケースもありますが)
こんな素晴らしい教材を活かさない手はないです!
映画選びのコツ
ひとくちに映画といっても、ジャンルはさまざまですよね。
ご自分のお気に入りの映画でしたら、繰り返し観たり聞いたりするのも楽しいので、それをチョイスするのがイチバンですが、ここで当初の目的を忘れてしまってはいけません!
目的はあくまでもディクテーションなので、お気に入りの映画で、なおかつ日常会話がふんだんに盛り込まれているものを選びます。
つまり、ご自分が今後、英語を使っていきたい場面が多く登場する映画が理想ですね。
裏を返せば、映画中の会話が日常生活でほとんど役に立たないような映画は、どんなにお気に入りでも、エンターテインメント性が高くても、ボツです!
「ここにホシ(犯人)がいる可能性が高い」「見て!あそこが、妖精が棲んでいるお城なのよ」などといった言い回しを日常生活で使う場面はほとんどないですよね(^^;)
したがって、SF、ファンタジー、ホラーなどは、まずはジャンルから除外しましょう。
また、スクリーンプレイ(台本)が必要になるので、これが入手可能な、メジャー作品にします。
具体的なディクテーションの方法
では、いよいよ具体的なディクテーションの方法にはいります!
用意するものは、教材として選んだ映画のDVDと、そのスクリーンプレイ(台本)です。スクリーンプレイは、書店やネットで入手します。スクリーンプレイは、答え合わせに使うので、それまでは、中身を見ないでくださいね。
プロセス① 書き取り
まずは、映画の中のセリフをノートにひたすら書き留めていきます。1時間半、2時間ともなると、結構なボリュームになりますので、最初は、シーン毎に、ここからここまでと決めてやっていくといいでしょう。
このとき、可能なら、英語はもちろんのこと、日本語も字幕はオフにしておきます。
オフに出来ない場合は、なるべく見ないでディクテーションしましょう。
判らないところは、なんども巻き戻して、カタカナでもいいので、書き留めておきます。
すると、あとで、答え合わせをした時に、ああ、この英語は、こんな風に聞こえるんだ!と判るので、今後実際の会話で使われた時にも聞き取れるようになります。
プロセス②答え合わせ
ディクテーションがひと通り終わったら、答え合わせをします。答え合わせも、映画を一本終えてからでも結構ですし、シーン毎にやっていってもいいでしょう。
自分の書いた英語を、スクリーンプレイの内容と照らし合わせて、正しい答えを赤ペンで修正していきます。
これは、クイズの答えを知るような、とっても爽快なプロセスです。
また、自分がどの単語が聞き取るのが苦手なのかが判明する、重要なプロセスでもあります。
プロセス③単語とイディオムを辞書で確認
答え合わせで出て来た、判らない単語とイディオムは、辞書でチェックして意味を調べましょう。
ディクテーションの素晴らしい点は、ディクテーションするだけで、リスニングが向上するだけでなく、語彙も豊富になり、イディオムも憶えられて、かなりの実力をつけることができるところなんです(^^)。
しかも、耳だけでなく、目からもビジュアルイメージとして捉えるのもポイント。五感のうち二つを使っているわけですから、耳だけで覚えるよりも、なおさら記憶に残りやすいのです。
プロセス④スピーキング
スクリーンプレイを見ながら、俳優に合わせて、自分もせりふをスピーキングします。
これによって、スピーキングの発音も向上し、英語を話す時の独特のリズムと抑揚も身についていきます。
話すことによって、自分自身の脳と細胞に英語がインプットされていきますから、文字通り、その英語が、自分にとって血となり肉となるわけで、スピーキングだけでなく、結果的にリスニング力向上にも繋がるのです。
プロセス⑤シャドウイング
プロセス④に慣れてきたら、今度は、スクリーンプレイを見ないで、④のプロセスをやってみます。シャドウとは、ご存じの通り、影という意味ですね。まさにその影の如く、登場人物が話すのを耳で聞きながら、その後に、自分も同じセリフを話してついていきます。これが、シャドウイングと呼ばれるものです。
シャドウイングの素晴らしい点は、自然に英文の構造が身についていくことです。これがスムーズにできるようになると、実際の会話でも、口からとっさに言いたいことがセリフのように出てくるようになってきます。なので、これも、一石二鳥の学習法なんです(^^)。
プロセス⑥実際に話してみよう
機会があったら、ディクテーションで学んだ英語を、実際の場面で、ドンドン使っていきましょう。
こうして、映画から吸収したものを、自分の身体と脳に沁み込ませていくのです。
このようにして、いくつものプロセスによって身についた英語は、あなたの中に、しっかりと蓄積されていき、ちょっとやそっとでは、忘れ去られることはありません。
あとは、この①~⑥のプロセスを地道に繰り返すだけです。
映画一本こなした後には、あなたのリスニング力は、飛躍的に向上しているはずです!
映画以外のおすすめ教材
TVショー
映画の次におススメなのが、TVショーです。これも、基本的な方法は映画と同じですが、TVショーの場合は、録画をして、英語字幕を使って、答え合わせをしていきます。その他は、上記の①~⑤と同じプロセスでディクテーションを行ないます。
これも、日常生活で使える会話が豊富に含まれた番組をチョイスしましょう。友人たちの共同生活を描いたアメリカの超人気コメディ『フレンズ』などは、見ているだけでも面白いので、教材に最適なもののひとつですね。
著名人のインタビュー
書店やネットで、俳優などの著名人のインタビューのDVDとそのスクリプトをセットしたものが販売されていますので、これを使うのもいいアイディアです。ただ、インタビューは、日常会話ではありませんので、実用度という点では、やはり映画には敵いません。
選択のポイントは、聡明な人物の教材を使うことです。その人の使う語彙や文の構造などは、その人の脳から生まれているので、やはり知性の高い人物は、文章力も優れています。たとえば、オックスフォード大学出身の俳優さんの話す英語は、聴いていて、明らかに、流石クオリティが高いなあと感じますね。
ニュース
ニュースは、日常会話ではありませんが、時事関連、経済関連などのワードに強くなりますから、自分が使う英語のフィールドによっては、かなり有益になり得ます。レベルの高い単語を聞く回数も増えますから、総合的な力も伸ばせますし、守備範囲も拡大します。日常会話に慣れてきたら、こちらにステップアップするのもいいですね。
TVでは、操作ボタンで英語に切り替わる、二カ国語放送のニュースがありますから、これを聞きとって、ディクテーションを行います。内容はネットの英語ニュースの記事等でチェックしてみると良いでしょう。完全に同一の内容ではありませんが、重要なキーワードは拾えるでしょう。
ラジオ英会話
これは、ディクテーションのためではなく、上記のディクテーションをこなした後に、自分のリスニング力がどれだけ向上したかを確認するための指針として利用するといいですね。これが難なくスンナリ理解できるようになれば、自分のリスニング力がアップしている、と判断できるわけです。この番組が、もうカンタンすぎて困る、というレベルに達したなら、さらにハイレベルの番組もありますから、それにシフトしていきます。
こうした英語番組は、自分にとって、ちょっと難しいかな、というレベルのものからスタートするのがコツです。カンタンすぎるなら、もうそのレベルは卒業という意味ですし、あまりに歯がたたないのレベルのも、やっていてしんどくなってしまいます。
ディクテーションでは、思わぬ『落とし穴』に注意しよう!
日本人向けの英語教材や英語番組は、リスニングが苦手な日本人向けに、実際よりも、超スロースピードで話されています(苦笑)。なので、これだけで学習して耳がそのスピードに慣れてしまうと、実際に外国人と会話した時に、「あれだけ聞いたのに、なぜ、ひとことも聞き取れないんだろう!?」と、ショックを受けてしまいかねません。
その点からも、ネイティブ向けに作られた映画が、教材として最適なのです!
もしスピードについていけない時には、最初は音声をICレコーダーに録音して、スピードを落としてからディクテーションをし、徐々にスピードを上げていって、ナチュラルスピードに戻していくと耳がだんだん慣れていきます。
いかがでしょうか?
このマニュアル通りディクテーションを行えば、確実にリスニング力が大幅に向上します。
あとは、実践あるのみ!
Let’s try!