TOEICを受験する人の多くが持っている悩みの一つに、「パート7の途中で時間切れになってしまう」というものがあります。制限時間75分間で100問を解かなければならないので、パートごとの時間配分や1問ごとの制限時間を予め決めておいて、その時間を超えないように注意しながら解いていく必要があります。
しかし、難しい問題に悩んでいるうちに時間はあっという間に過ぎていきますし、パート7は長文読解問題なので、どうしても解答に時間がかかってしまいます。そしてパート7の途中で時間切れになり、結果的にリーディング全体で点数が伸びない原因になります。
つまり逆に言えば、時間制限内にパート7の問題を最後まで解くことができれば、点数を大幅にアップさせることができるということです。そこでこの記事では、リーディングセクションで点数を取るための勉強方法や、長文読解のコツを紹介します。
単語力と文法知識は必須!
豊富な語彙が得点に結びつく
単語力は、リーディングセクションの点数に大きく関係します。パート5では、正しい単語を選択する問題も多く出題されるので、語彙力がそのまま得点に結びつきます。また、パート7では、文中に出てくる単語と同じ意味の単語を選択肢から選ぶ問題も出題されるので、単語の意味を理解できていれば、正しい答えをすぐに見つけることができ、解答時間を短縮することができます。
TOEIC用の単語テキストを1冊使って丁寧に勉強すれば、TOEICに出題される単語や熟語はほぼ全て理解できます。既に単語テキストを持っている人は、およそ3ヶ月間、毎日そのテキストで勉強しましょう。
また、単語や熟語を覚えながらパート5形式の問題を解くのもオススメです。単語テキストでの勉強はインプットで、問題を解いて実際に単語や熟語を使うのはアウトプットになります。ただ覚えるだけでなく、実際に使うことで理解はより深まります。インプットとアウトプットを交互に行い、英語の語彙力を伸ばしましょう。
文法理解がパート5とパート6攻略の鍵!
パート5とパート6では、品詞や時制などの理解を問う問題も多く出題されます。文法を正しく理解していれば、こうした問題で正解を素早く見つけることができます。文法は、TOEICを受験する3ヶ月ほど前から、約1ヶ月かけてしっかり勉強しておくのがオススメです。実際に問題集などを解くのは、文法学習を終えてからにしましょう。
文法を一通り集中して勉強したら、問題集に取りかかります。文法を理解できていればほとんどの問題は難なく解くことができますが、それでもたくさんの問題を解く中で、分からない問題や間違えてしまう問題も出てきます。
分からなかった問題や間違えてしまった問題、また、勘で解いて正解した問題の文法は、解説や文法のテキストを読んで復習しましょう。特に、勘で正解した問題をそのままにすると、弱点をそのまま放置することになってしまうので、忘れずに復習しておきましょう。勘で解いた問題に印を付けておくと、復習忘れを防ぐことができます。
計画的な勉強でリーディングセクションの得点力アップ!
リーディングセクションで点数を取れるだけの単語や文法の知識を付けるためには、計画的に勉強をすることがとても大切です。下の表は、リーディング勉強のおおまかなスケジュール例です。
もちろん、必ずこのスケジュール通りに勉強をしなければいけないというわけではありません。自分のペースで、無理のない勉強をしましょう。ただ、単語や熟語の学習は前日まで毎日続けてください。どうしても時間がないときは寝る前の5分だけでも良いので、毎日音声を聞きながら音読し、耳と口で覚えましょう。
文法の学習にオススメの教材
単語テキストは、音声を聞きながら勉強できるものであれば、基本的にはどの教材を使って勉強しても単語や熟語の知識を付けることができます。付属のCDが付いているものだけでなく、スマートフォンアプリで音声をダウンロードできるものもあるので、自分が勉強しやすい教材を選ぶと良いでしょう。
一方、文法に関して言えば、復習をせずにいきなり問題集を解いて文法の勉強を始めてしまう人も多いのですが、リーディングセクションで点数を取るためには、まず文法を正しく理解することが大切です。
文法の復習には、以下の教材が特にオススメです。
『TOEICテスト全パート対策英文法』(監修:神崎正哉)
公式HP:http://www.cosmopier.com/shoseki/toeic_30.html
この教材は、文法を基礎から復習するのにとても適しているので、TOEICに不慣れな人や、文法が苦手な人にオススメです。例文を通して文法を覚えることができるので、文章の中での文法の活用方法を理解しやすくなっています。付属のCD-ROMを使って、音声を聞きながら文法を覚えることもできます。
『新TOEICテスト900点を突破する英文法トレーニング』(著:福居守世)
2006年に発行された教材ですが、TOEICに出る文法をとても細かく解説してくれているので、高得点を目指す人にオススメの教材です。文法ごとに練習問題が付いていますが、まずは文法解説のページをしっかり読み込んだりノートにメモしたりしてから練習問題を解くと、インプット→アウトプットの順序に沿った学習ができます。
『毎日1分TOEIC TEST』シリーズ(著:田中健介)
忙しくて文法を勉強する時間が取れない人にオススメの教材です。持ち運びしやすいコンパクトサイズなので、移動中の電車内や外出時にも、わずかな時間で文法の勉強ができます。また、600点クリア、730点クリア、860点クリアの3通りがあるので、今の実力と目標点に近い教材を選びやすくなっています。見開きごとにパート5形式の設問が2問あり、実際の出題形式に慣れることもできます。
ここで紹介した文法テキストには、文法の理解を深めるための練習問題が付いていますが、答えはテキストに直接書きこまずノートなどに書くと、一冊の教材で繰り返し文法学習ができます。また、同じ問題を繰り返し解くことで、文法の理解が一層深まります。
時間制限を意識しながら問題を解く
パート7のためにできるだけ多く時間を残すことが大切!
TOEICのリーディングセクションでは、75分間という短い時間で100問を解かなければいけません。しかも、パート7は問題数が54問もあり、しかもその中の15問はトリプルパッセージ(3つの文章を読んで解答する問題)なので、パート7にできるだけ解答時間を残せるように、その前の2つのパートをできるだけ早く解き終わるのが理想的です。
パート7の問題には、1問15秒ほどで解ける簡単な問題もあれば、答えを見つけるのに1分以上かかる難問もあります。平均で、1問あたり1分以内に解けるようにしておけば、パート7は54分~55分で解けます。
つまり、パート5とパート6を20分で解き終われば、パート7のために十分な時間を残しておくことができるということになります。普段から、問題集を解いて勉強するときは、常に時間を意識するようにしましょう。
パート5とパート6は合わせて46問なので、1問平均25秒ほどで解けば、19~20分で解き終わります。問題集によって1セットごとの問題数は異なるので、時間を計りながら1セットを解いて、1問あたりの平均解答時間を確かめましょう。
とはいえ、いきなり急いで解く練習をしても、ケアレスミスの原因になります。まずは焦らず正しい答えを見つけることと、どれだけ考えても分からない問題は捨てることを心掛けましょう。問題に使われている文法や単語の知識を丁寧に身に付けながら、少しずつ解答時間を短縮していきましょう。
リーディングセクションの攻略には速読のスキルが不可欠!
文章を読むのは一度だけ!
パート7では、文章全体を読んでいないと解けない問題も多く出題されるので、文章は必ず全文読みましょう。まず問題文を読んでから、本文を読んで答えの部分を探します。そうすることで、答えの書いてある部分を探しながら文章を読むことができるので効率的です。
TOEICのリーディングでは、戻り読みは厳禁です。何度も繰り返し読んでいると、それだけで時間のロスになってしまいます。リーディングセクションは時間勝負なので、一度読んで内容を理解し、記憶することを心掛けましょう。
速読の練習ができる英語の教材はいろいろありますが、まずは簡単な洋書を通して練習するのもオススメです。
例えば、ペンギンのマークが目印の『Penguin Readers』の本は、難解な表現を使った文章がほとんどないので、戻り読みのクセを直す練習に適しています。また、初心者でも読みやすいEasystarts(200語)から、上級者向けのレベル6(3000語)まで難易度がレベル分けされているので、現在の自分のレベルに合ったものを選びやすくなっています。「これならスラスラ読める!」と思える本を選んで、速読の練習をしてみましょう。
戻り読みせずに文章を読めるようになってきたら、本格的にTOEICのパート7の勉強を始めます。練習問題をこなしながら、速読のスキルをさらに向上させていきましょう。
パート7の勉強は、本番のおよそ2ヶ月前から始めるのがオススメです。文法の復習や速読の練習を一通り終えてから、パート5とパート6の勉強と同時進行で進めていきましょう。
文章の中の重要な部分とそうでない部分を見極める
繰り返しになりますが、パート7の問題は合計54問もあるので、多くの人がこのパートの途中で時間切れになってしまいます。時間が足りなくなる主な要因は、長文を読むのに時間をかけすぎていることです。つまり、戻り読みをしないことだけでなく、できるだけ素早く読み、解答を見つけることがこのパートにおいて特に重要になります。
例えば、以下のような文章があったとします。
“Please be informed that the next interview will be held at our Tokyo office on October 5, 2017. The interview will be held from 3:00 to 4:00 PM. You don’t have to bring anything to white with. If you have any questions or concerns, please do not hesitate to contact us.”
この文章を日本語に訳すと、以下のようになります。
「次回の面接は、2017年10月5日に東京オフィスで行われることをご連絡いたします。面接時間は、午後3時から午後4時です。筆記用具はお持ちいただかなくてけっこうです。ご質問やご不明な点がありましたら、お気軽にご連絡ください。」
TOEICのリーディングでは、このような日本語訳をする必要はありません。文章の内容さえ正しく理解できていれば、どの問題も解くことができます。丁寧な日本語訳をせずに内容を正しく読み取るためには、先に問題文を読んだ上で、流し読みしても良い部分と集中して読む部分を見極めることが重要です。
例えば、上の例文の冒頭、“Please be informed that~.”はTOEICでもよく出るビジネス表現ですが、これは「~をお知らせします。」という意味になります。つまりこの文章は何かの通知文で、重要なのは“that”の後の文章です。“please be informed that”の部分は流し読みして、that節の中を集中して読みましょう。
例文の続きを見てみると、面接の時間と、持ち物について書かれています。文章の内容としては難しくありませんが、時間やある特定のアイテムなどを示す文章は出題ポイントになることが多いので、このような箇所は注意して読んでおくと良いでしょう。
最後の一文、“If you have any questions~.”は、TOEICのパート7では頻出の文章です。ここから出題されることは稀ですが、「質問や不明点がある人はどうしたら良いですか?」というような形で出題されることもあるので、その場合は、“If you have any questions~,”の部分は流し読みして、その後の文章を集中して読みます。特に、電話番号やメールアドレス、ホームページのURLなどが書かれている場合は特に注意しましょう。
このように、注意すべき個所と流し読みで良い箇所を見極めることで、長文読解にかかる時間を減らすことができます。
確かな英語力を身に付ければリーディングセクションの点数は伸びる!
時間制限が短く問題数が多いリーディングセクションですが、単語力や文法知識を身に付ければ、解答のスピードも自然に早くなっていきます。まずは文法と単語の学習から始めて、英語力を底上げしましょう。
パートごと、1問ごとの制限時間を意識することも大切です。TOEIC本番が近づいてきたら、時計を見ながら問題を解く練習を重点的に行いましょう。
また、パート7を最後まで解くためには、文章を素早く読んで内容を理解することが欠かせません。戻り読みをしないことと、文章の中の重要な箇所を見極めることを心がけて、文章を読む練習をしましょう。
次のTOEICテストではリーディングセクションを最後まで解ききって、スコアを一気に伸ばしましょう!