この記事をお読みになっている方は、日常ではあまり英語を使う機会はないが、ゆくゆくは英語を使った仕事をしたいと思って勉強をしているかもしれませんね。しかし、なかなか上達しなくて、
「やっぱり子どもじゃないと大幅な上達はムリなんじゃないか・・・」
と半ばあきらめている方もおられるかもしれません。
あきらめる前に本記事を読んでもう一度モチベーションをあげてみませんか?
英会話は、ときとしてスピーキングに重きが置かれがちです。しかし、もちろんのことながら、相手が言っていることが聞き取れないと言いたいことすら言えません。至極当然のことですよね。また、聞き取れない音は発音すらできないとも言われているのも事実です。英会話力をアップさせたいのであれば、まずはリスニング力をアップすることが近道なのです。
そもそも、中学校で始めて英語を学んだとき、覚えたことばはいくつもあるけど、実際いつ使うのかがわからない、このフレーズでどういった思いが伝えられるのか、といった視点が欠けているようにも見えます。先生は、もっと積極的に英語で話しましょうと促すが、そもそも何を話せばいいのかがわからないために、口から英語が出てこないことに悩みます。
こういった悩みに対する具体的な解決方法はあるものでしょうか?
語学を身につける人とそうでない人の差
言語学者の調査によると、外国人が英語を身につけることは途方も無い個人差があるようです。何年たってもほとんど話せない人から、流暢に喋る人まで多種多様。世間一般的には、外国語習得は子供のうちに学べば上達するけど、一定の年齢以上になってからでは、いくら努力しても上手にならないという考え方があります。しかし、いろいろなことについて相手と意思疎通をはかりたいと思う人は、必ず熟達します。ただ、子どもと比べると、人間は年を負うごとに「何かを伝えたい」という意欲が低下する傾向にあるだけだと言われているようです。
「なぜ」英語を勉強するのか
さて、具体的なリスニング力をアップする前に、ひとつ質問です。
「あなたは、なぜ、英語を身につけたいのですか?」
これは単純な質問ですが、最も重要だと言ってもいい質問でしょう。
「なぜ?」に対する理由を最低5個ほど紙に書きだしてみてください。
自分のなかで明確な理由がない場合は、やってもやっても上達しないスパイラルに陥りやすくなります。
たとえば、つぎのような感じです。
Q:なぜ上達したいのか?
A:自分のスキル向上になる。
Q:なぜスキル向上が「英語」なのか?
A:ゆくゆくは英語を使う仕事がしたいから。
Q:なぜ英語を使う仕事がしたいのか?
A:自分の知識や技術を活かして海外で活躍したいから。
Q:なぜ海外で活躍したいのか(国内ではダメなのか)?
A:途上国を旅行したことがあり、それらの国の発展に何かできればいいと感じたことがある。
Q:なぜ発展のために何かしたいと思ったのか?
A:・・・
このように繰り返し自問自答すると、本当に英語を身につける必要があるのか、または身につけるだけの「動機」があるのかが浮かび上がります。
動機がしっかりしている方は、上達が早く、あいまいな方はなかなか上達しないという傾向にあるようです。
「なぜ」の繰り返しは重要です。以下の文章を読むまえに一度ストップして、ぜひ紙に書き出してみてください!
「どのように」リスニング力を身につけるか
「なぜ」の繰り返しが終わって自分なりの明確な動機がみつかったあなた、あとはどの動機のためにまっしぐらに勉強をするだけです!この動機は非常に重要です。紙に大きく書いて机の前に貼っておくことをおすすめします(^o^)
では、そろそろ具体的な話しに入ります。今回は、リスニングの勉強法について紹介しますね。
映画を使ってリスニング力をアップさせる
参考書やフレーズ集などを買ってひたすら暗記シている方、その参考書は本棚の奥にしまってください。どういうシチュエーションで使うのか、実際に英語圏の人が使っているのか、といったことは参考書からはわかりにくいものです。それを覚えたところで、中学生の時にやった学習と同じ道を辿りかねません。
おすすめは映画を見ることです。なぜ映画がいいかと言うと、リアルな世界で使われている英語、つまり生きた英語を学ぶことができるからです。さらによい点としては、どういう場面で使うのかがはっきりと視覚的に理解できることです。耳だけで聞くより、目で映像を見たほうが脳にイメージが残ります。しかし、どんな映画でもいいというわけではありません。次に英語学習者が注意したい映画の選ぶポイントを紹介します。
選ぶときの注意点
英語学習のために選ぶ映画はつぎのような点に注意して選ぶことをおすすめします。
– 純粋に面白そうだと思う映画(見飽きたらどうしようもない)
– 裁判や人生などのテーマはさける(単語が難しいうえに変に考えてしまう)
– 軽い話しのラブストーリーや友情モノなどをチョイス
映画を見る一番の目的は、どんなシチュエーションでどんな会話がされているかを知って習得することです。特に日常の何気ない生活を描いた映画は普段から使われる英会話が盛りだくさんでよいでしょう。
おすすめは「ユー・ガット・メール」
出典:amazon
主演はトムハンクスとメグライアン。インターネットで知り合った名前も知らない2人がメール交換をしながらお互いの恋の行方をユーモアたっぷりに描くロマンティック・コメディ。
ビジネスや恋愛というシーンが盛り込まれているけども、コメディの要素もあるため気楽に何度も見ることができます。
映画でリスニングを勉強しようとする人にありがちなのが、「自分の好みだけ」で選んでしまおうとすることです。もちろん好きじゃないと長続きはしないのですが、あまり日常生活では使用しないような単語やフレーズが多くある映画を見ても、実践で使えるようになるわけではありませんよね。
逆で考えてみると、わかりやすいのではないでしょうか。いくらサムライ好きの外国人が日本語を覚えたいからといって、「七人の侍」のような映画をすすめたりはしないのではないでしょうか。その外国人はサムライ言葉は上達するかもしれませんが、私たちが普段使っている日常の言葉はとんと上達しないことでしょう。
ポイントとしては、自分が好きで、かつ日常生活を描いた映画となります。もちろん、ユー・ガット・メール以外にもいろいろ楽しめる映画はありますので、レンタルショップで悩んでみるのも楽しいかもしれませんね。
吹き替えまたは字幕付きで見る
ストーリーを頭に入れるため、まずは1回字幕付きの映画を普通に見て下さい。このときは英語を覚えようとしなくてもよいです。ただし、ただ漫然と見るのではなく、こういうシーンのトムハンクスの考え方はわかるなあとか、なんでメグライアンのこういう意見ってすんなり受け入れられるんだろう、などと自分なりに考えながら見ると、その後の英語学習のときも理解が早くなります。
英語はさておき、感情移入するくらいがちょうどよいでしょう。
字幕を英語にして見る
次に字幕を英語にしてください。もちろん会話も英語ですよ!1回目でストーリーはつかんでいるので、話の流れに気をとられることはありません。ポイントは、2時間ぶっ通しでみるのではんく、チャプターごとに区切ってひとつのチャプターを何度も繰り返し見ることです。2時間連続だとそもそも忙しいビジネスパーソンはそんなに時間をとれないため伸ばし伸ばしになって結局見ないということになりかねません。20分程度であれば隙間時間で見れるため、ぜひチャプターごとに再生するようにしてください。どのチャプターから見ても構いませんし、すべてのチャプターを必ず見る必要もありません。苦にならずに続けられる環境を作ることが大事です。
1回目は、とにかく字幕を読んで英語を覚えるくらいの姿勢で見てください。はじめは慣れないので文章の最後まで読みきれないかもしれませんが、その場合はストップしてしっかり最後まで読み切るようにしてください。耳では”You got mail”と聞こえるけど、字幕を見たら”You’ve got mail”なんだ、という気づきもあるでしょう。文法を忘れてしまった方は、なぜメールで現在完了形が使われるかを調べてみると面白いかもしれませんね。
こうやってストップしながら見るとひとつのチャプターでも20分では足りないでしょう。でも1回目は我慢してください。次回からは20分で見れて、かつ英語の字幕でもしっかり理解できる自分になれますので。英語の字幕で映画を見るかっこいい自分を想像しながら見ると続けやすいでしょう。
1回目のチャプターを見終わったら、もう一度同じチャプターを見ます。そして次はできるだけストップせずに最後まで通して20分きっかりで見終えるようにします。まだ英語を聞き取れる自信がないかたは字幕を追って見てもよいでしょう。大事なのは、ストップせずにネイティブが話すスピードについていくことです。とくにアメリカ人が喋る英語は早いので、このスピードについていければだいたいどこの国の英語でも余裕になるでしょう。
耳だけで映画を見る
さて、いよいよ仕上げです。今のあなたは、ストーリーを理解し、使われている文章や英単語を理解できている状態です。映像ももう目に焼き付いていることでしょう。そこで、今度は目を閉じて映画を再生してください。こうすることで、音だけに集中できるのです。しかも、映像は頭のなかでリアルに流すことができます。もう何度も見ていますからね!この状態までくると、ユー・ガット・メールという発音ではなく、確かにユーヴ・ガット・メールと言ってるなぁということまでわかるようになります。
さらに、音に集中しつつも映像は頭の中で流れているため、どういうシーンでどういうフレーズが使われているか、ということを感覚でわかるようになるのです。この感覚がとても重要です。
自分の生活で有り得そうなシーンをメモする
耳で見る映画に慣れてきたら、ほかのことをしながらでもしっかりと英語が耳に入ってくるでしょう。このレベルまでいけば十分英語耳ができあがっています。そうしたら、自分の生活でもありそうだなというシーンの英語をメモするようにしてください。メモ帳を新たに買ってきてもいいですし、スマホのアプリでも構いません。ポイントとしては、1つのフレーズのみではなく、まとまった会話を複数メモしてください。
なぜかというと、大抵の場合、1フレーズを覚えようとしますが、会話は相手のキャッチボールです。相手が発した言葉に対してこちらから返答する、またはその逆の繰り返しです。1フレーズを覚えたとしても、仮に相手がそのフレーズに近いことを言った際、
「あっ、これは私のメモにある言葉だぞ」
と思い、その後
「ん?でもなんて言い返すのが自然なのだろう?」
となってしまうでしょう。
もちろん100%映画通りのシチュエーションに合わせる必要はありませんが、ネイティブの考え方や会話をマネするということは初めのうちはぜひやってみてください。習うより慣れろ、です。
少しスピーキングのことを説明しましたが、リスニングにおいても、メモをとるという行爲は自分の脳を活性化させ、大事な言葉だぞとインプットをする作業になりますので、ぜひともトライしてみてください。
メモした内容は何十回も「音読」して覚える
そして、単にメモするだけではなく、それをしっかり覚えること。この作業は通常の参考書を紙に書いて覚える行爲と似ていますが、根本的に違うのが映画の映像付きで覚えられるという点です。シチュエーションが頭に入っているため、単に音読しているときでもそのフレーズがしっかりと生きたフレーズになります。
頭の中でフレーズを繰り返すだけではなく、しっかり音読してくださいね。自分の声を自分の耳で聞くことが重要なんです。日本語でも同じでしょうが、慣れていない言葉を使うと、なんとなく脳が違和感を感じますよね。英語がなかなか脳に定着しないのは、脳にしっかりインプットができていないから。「自分の言葉」として、刷り込むという作業が必要なんです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。最初にも言ったように、英会話はまずリスニングを鍛えることが上達の近道になります。英会話を勉強していると、早く話したいという思いから、どうしてもスピーキングに偏りがちになります。すると、言いたいことは言えない上に、相手が何を言っているのか聞き取れず、ダブルでフラストレーションが溜まることに。こうなると続けるのがイヤになるのもわかります。いつまでにどの程度の英語力を鍛えておきたいかを自分なりに明確にして、まずはリスニング強化月間なるものを設け、ひたすらリスニング上達のみに神経を集中させて勉強してみてください。きっとこれまで以上の英語耳ができあがることでしょう。