近年では、海外からの観光客が増え、英語でお客様をおもてなしする機会が増えてきました。2020年には東京オリンピックを控えており、街中で英語を使う機会もますます増えていくでしょう。そんな中、自分も英語で会話をしてみたい、観光客に英語で道を聞かれたら、英語で答えられるようになりたい、と思っている方も多いのではないでしょうか。しかし、英会話のレッスンにはお金も時間もかかり、気軽に始めるには少し敷居が高いですよね。そこで、お金や時間の制限で諦めてしまう前に、英会話の練習を独学で始めてみてはいかがでしょうか。会話の練習なのだから、1人ではできないと思う方がほとんどだと思います。しかし、英会話というのは、言ってみれば英語のインプットとアウトプットの連続です。そのインプットとアウトプットを別々に訓練すれば、独学でもしっかりと英会話を練習することができるのです。今回の記事では、独学での英会話の練習法を具体的にご紹介していきます。
1.インプット
「インプット」というのは、日本語にすると「入力する」という意味です。つまり、情報を自分の脳に入力・記憶するという意味になります。そもそも、英会話の練習にインプットが本当に必要かどうか疑わしく思う方もいらっしゃるかもしれません。ですが、頭の中になにも情報がなかったら、話をしようとしてもなにも話せません。例えば、極端な話ですが、観光客に道を教えてあげようと思っても、「右」という単語や「左」という単語を知らなければ、道順を正しく教えてあげることはできないでしょう。自分の言いたいことを発言できるようにするには、自分が使うであろう最低限の単語を知っておく必要があるのです。
そのためにも、単語の暗記は、自分が知らない単語に出くわさなくなるほどまで、きちんと続けることをおすすめします。勉強法は、昔ながらの単語帳を使ってもいいですし、スマートフォンの学習アプリを使うのもいいでしょう。また、暗記するのが苦手な方は、家の中にあるものを英語で表記させておいたり、どうしても覚えにくい単語を紙に書いて、最もよく目にする場所に貼っておくなどすることで、知らないうちにたくさんの単語を頭の中にインプットすることができます。
単語以外にも、できれば文法の学習も進めましょう。もちろん、会話をする際に、単語の羅列だけで言いたいことを伝えることも可能です。しかし、やはりそれではいずれ限界がきてしまいます。会話を円滑に成り立たせ、自分の言いたいことを的確に伝えられるように、文章をどのように組み立てたら良いのか知っておく必要があります。ここでポイントなのは、文法書は日本語のものではなく、すべて英語で書かれた文法書を使うと、より学習効率がアップするということです。文法の説明が英語で書かれているので、それを読むだけで英語の文章の構造がどのようなものなのか、ということまで頭に入れることができるからです。ただ、完全な初心者だと、英語ばかりの本で読むのも嫌になってしまうかもしれないので、ご自分のレベルに合わせて教材を選びましょう。
また、もちろんリーディングの練習も、英会話上達のカギとなります。インプットした単語が、実際の文章の中ではどのように使われているのか、その単語の前後にはどのような単語が使われることが多いか、などのいわゆる「コロケーション」を学ぶことができます。これが頭に入っていると、実際に自分で文章を組み立てる際、より自然な文章を作り上げることができるのです。リーディングの教材は、本でも良いですし、英字新聞でも良いと思います。また、最近はスマートフォンのアプリで、英語の文章を読み上げてくれるものも存在します。リスニング力を鍛えながら、同時にリーディング力も鍛えられるのでおすすめです。
2.耳を英語に慣れさせる
1でご紹介したように、英会話の上達にはインプットが必要です。しかし、これはやり始めてすぐに習得できるものでもないですし、終わりがあるものでもありません。ですので、英語のインプットを進めるかたわら、耳を英語の発音に慣れさせておきましょう。英会話をしたくても、相手が何を言っているか聞き取れなければ会話は成り立ちませんので、しっかりとリスニング力も同時に上げていきましょう。
主なリスニングの勉強方法としては、とにかくたくさんの英語を聞くことをおすすめします。普段の通勤・通学中に聞いていた音楽を洋楽に変えたり、英語のラジオを聞いてみたり、英語のポッドキャストを聞いてみたりすると良いでしょう。また最近では、スマートフォンで簡単に海外ドラマや洋画を視聴することが可能になりました。自分のお気に入りの番組を見つけて、毎日視聴することで、着実に耳を英語に慣らしていきましょう。
ただ、せっかく英語を聞いているのに、日本語の字幕を付けてしまうと、どうしても日本語を追ってしまうので、もったいないと思います。そこで、私が特におすすめするのが、英語の字幕を付けて英語を聞くことです。それじゃ内容が全くわからない、と思う方もいらっしゃるでしょう。しかし、内容がわからなくても、英語の発音が必ず身につきます。というのも、スペルを目で確認しながら英語を聞くことで、英語の正しい発音や、単語と単語が繋がって聞こえる「リエゾン」も同時に学ぶことができるからです。独学で難しいのは、間違いを直してくれる人や、新たな発見を与えてくれる人がいないという点です。そこで、英語のリスニング教材を英語の字幕付きで視聴し、自分が間違えて覚えてしまっていた発音や、会話ならではの省略語や繋がって聞こえる音などを学んでいきましょう。
リスニングの勉強に関して、1点気をつけるべきことがあります。それは、1つの教材をずっと使用し続けないようにすることです。英語は、ほんとうに様々な国で話されており、国や人それぞれによって、みんなアクセントが異なります。1つの教材を聞き続けて、その人のアクセントに慣れてしまい、英語が聞き取れるようになったと思ったとしても、違ったアクセントを持った英語を話す人に出会ったとき、なにを言っているのか全然わからない、ということにもなりかねません。ですので、例えば、アメリカのドラマを観た後はイギリスのドラマを見るなど、普段から、様々な国のアクセントに触れるように心がけておきましょう。
3.アウトプット
さて、英語のインプットやリスニングの勉強がある程度できたら、次はそれらを「アウトプット」することが必要です。「アウトプット」は、「インプット」の反対で、「出力する」という意味です。学んで頭に記憶されていることを、実際に使えるようになってこそ、学習の意味があります。特に英会話の上達には、このアウトプットが非常に重要になってくるのです。しかし、独学でアウトプットをするのは、簡単なことではありません。会話の相手がいないので、手応えは感じられないかもしれません。ですが、たとえ独学であっても、アウトプットの練習を適切に進めることで、確実に英会話力はアップします。
まず、普段から、独り言を英語に変えてみましょう。例えば、家事をしているとき、犬の散歩をしているとき、お風呂に入っているとき、寝る前にぼーっとしているときなど、1人でいるときは特に、意識して英語の独り言を言うようにしてみてください。少しおかしな話のように聞こえるかもしれませんが、考えていることを英語にしてみるという最も良い練習になります。
もし、独り言を言うのが恥ずかしい、そもそも独り言なんて言わない!という方は、頭の中で英語を組み立てる練習をしてみてください。独り言を言わなくても、例えばご飯を食べているときに「おいしいなあ」と思ったり、道を歩いていているときに「暑いなあ」と思ったりと、頭の中では様々な思考が流れているはずです。その考えを、英語で言う場合はどのように言えばよいか、という置き換えの練習を常日頃からしてみるようにしましょう。最初は上記のような短い文章で構いません。慣れてきたら、それを誰か他の人に伝える場合はどのような文章を作ればよいか、と文章を発展させていくと良いと思います。例えば、上記のご飯の例で言えば、「今日のお昼ご飯はラーメンを食べた。それがとてもおいしかった」というきちんとした文章にしてみます。それから、それを英語で表すにはどうしたらよいかを考えるのです。地道な練習のように思えますが、独学ではこのような少しずつの努力が最も重要です。アウトプットをする機会が少ない分、あらゆる機会を有効活用しましょう。
時間がないときは、目にしたものを英語で表現してみる、という練習も効果的です。家の中にあるあらゆるものを即座に英語に変換する訓練をすることで、日本語から英語への切り替えが早くなります。自然と単語も覚えられるので、英会話の最中に単語が思い出せなくて詰まってしまう、ということが減っていくと思います。
また、独り言や頭の中の思考だけでなく、実際に作った文章を紙に書いてみるのも効果的です。英会話とライティングは関係ないようにも思えますが、言いたいことをリストアップして、それを英語に直して書いておき、読む練習を繰り返しましょう。そうすることで、いざという時に口からそのフレーズが出やすくなります。文字にして書いてみることで、話しているだけではわからない、スペルや文法により注目することができるので、正しい英文を組み立てる練習にもなります。
まとめ
以上、英会話を独学で勉強する場合の具体例を挙げてきました。これらを実践したからといって、すぐに英語がペラペラになるわけではありません。しかし、少しずつの努力で英会話力が徐々に上がることは確かです。また、最も大事なポイントは、上に記したインプット、リスニング、アウトプットのうち、どれかが1つでも足りないと、上手くいかないということです。どの分野も平等に、バランスよく練習をしていくことで、英会話の上達に繋がります。お金をかけずに独学で英会話を学ぶのは簡単なことではありませんが、不可能ではありません。自らの目標を設定してモチベーションを上げつつ、勉強を続けていきましょう!