ふと、自分の感情や置かれた状況が「あの映画のシーンそのものだ」と感じて、そのセリフが出てくることってありますよね。
“Toto, I’ve got a feeling we’re not in Kansas anymore″
今回は「オズの魔法使い」の有名なセリフを解説します!
“Toto, I’ve got a feeling we’re not in Kansas anymore″
画像引用:The Wizard Of Oz 公式Facebookページ
『オズの魔法使い』(the Wizard of Oz)で、主人公ドロシーが愛犬トトと共に、見知らぬ世界へ竜巻で飛ばされたあとにつぶやいたひと言も、日常生活で使われるようになった映画名セリフのひとつです。
直訳すると「トト、私たちはもうカンザスにはいないみたい」ですが、ドロシーにとっての「カンザス」、つまり住み慣れた心地よい場所から踏み出したとき、不慣れな状況に置かれることを表現する慣用句として使われています。
『オズの魔法使い』自体1939年の古い映画なので若い人が使っているイメージはそんなにありませんが、有名なセリフですので他の映画やドラマでもよくでてくる表現なんです。
たとえば2009年公開の映画『アバター』の、主人公ジェイク・サリーが惑星「パンドラ」に降り立ったシーンでは
You are not in Kansas anymore. You are on Pandora, ladies and gentlemen.(ここは地球ではない。お前らが着いた星はパンドラだ)
と、呼びかけられるセリフとして使われています。「ここはカンザスではない」と訳しても日本の視聴者にはいまいちピンとこないですし、字幕の「ここは地球ではない」の方が、セリフが本当に伝えたいことに近いんですね。
またイギリスのガーディアン紙でも、東京の魅力について書かれた記事内で面白い使われ方がしていました。東京に到着したらまず築地へ行くことを薦めている文章に
Nothing will convince you more quickly that you’re not in Kansas (or Hampstead) any more, 」(引用:The Guardian)
と、くっついているんですね。
直訳すると「ここ以上にあなたをカンザス(もしくはハムステッド)にいないと納得させる場所はない」ですが、要は築地に行けば、「海外に来た!ここはもう東京なんだ!と体感できるぞ」と強調しているわけです。
アメリカの土地である「カンザス」に、ロンドンの「ハムステッド」を加えているのが、英語の小粋な感じがあっていいですよね。
映画のセリフを丸ごと使うのではなく、主語を変えたり「not in Kansas anymore」だけを使ったり。こうした表現は″元ネタ″を知らないと、なかなか理解できないもの。映画を観ていて「ん?字幕とはなんか違うような……」と感じたら、そのセリフを調べてみると面白いですよ!