グローバルな時代になってきた今、日本国内で外国人と交流をしたり、留学や仕事で海外に行く人が増えてきました。 たくさん勉強して、外国人とフレンドリーに会話ができるようになったという方もいるでしょう。それでも、ネイティブが使う英語を聞いて、自分が話している英語はなんだかネイティブの英語とは違うなあと感じたり、自分もネイティブのような英語をしゃべりたい!と思うこともあるかもしれません。事実、日本人が学校で習う英語の教科書には、たくさん有用な情報が載せられていますが、実際にネイティブが使う表現や言い回し、スラングなどは載っていないことが多いのです。ですので、教科書だけで学んだ英語では不十分なのかもしれません。筆者も日本の英語の教科書を一生懸命勉強してきましたが、イギリスに留学しに来てから初めて聞いた英語の表現がたくさんありました。そこで今回の記事では、ネイティブが本当によく使う英語の表現なのに、日本の英語の授業ではあまり教えられることのない表現をご紹介していきます。
あいさつ
まずは基本のあいさつですが、日本では必ずと言っていいほどHow are you?と教わると思います。そして答えはI’m fine thank you, and you?と決まり切った例文で教え込まれることが多いです。ですが、この定型的なあいさつを実際にしているネイティブはほとんどいないと言えるでしょう。もちろん、How are you?と聞くのは変ではありません。ですがHow are you?だけではなく、How are you today?やHow are you doing?と尋ねる方が自然に聞こえます。
また、イギリスではAre you alright?と尋ねるのが最も一般的な挨拶です。日本語に直訳すると「あなたは大丈夫ですか?」なので、聞かれると少しぎょっとするかもしれません。筆者が初めてイギリスに来た時に、スーパーやお店の店員にさえAre you alright?と聞かれたので、始めはどう答えていいかわかりませんでした。ですがこれは、本当に相手が大丈夫かどうかを尋ねるというよりも、もっと気軽に「元気?」「調子はどう?」というような質問です。あいさつとして当たり前になりすぎていて、もはや返事をしなくても問題ないくらいです。ですので、まずは友達に会ったら、気軽にHi, are you alright?と会話を始めてみてはいかがでしょうか。
こういったあいさつの答え方ですが、日本人が学校で習う通り、I’m fine thank youと答えると、少し固い印象になります。友達同士や知り合いであれば、I’m goodやI’m alrightと答える方が自然です。もちろんI’mを省略してGoodやAlrightだけで答えても問題ありません。それほど元気ではなく、まあまあな時は、Not bad (「悪くないよ」)と答えると、ネイティブっぽく聞こえます。「あなたはどうですか?」という意味のand you?については、andを省いてyou?だけ聞き返すことが可能です。それ以外では、How about you?やWhat about you?と丁寧に聞き返してもいいでしょう。以下にあいさつの流れの例をいくつか挙げてみます。
-Hello, how are you doing today? (「こんにちは、今日の調子はどう?」)
-Not bad. What about you? (「悪くないよ。君はどう?」)
-Are you alright? (「元気?」)
-Yeah, alright. You? (「うん、そっちは?」)
-Hi, are you alright? (「やあ、元気?」)
-I’m good. How about you? (「元気だよ。あなたは?」)
感謝・謝罪
さて、あいさつの次に最もよく使うであろう英語は、「ありがとう」や「ごめんなさい」、「どういたしまして」などの感謝や謝罪を表す表現だと思います。日本では普通、それぞれThank you、I’m sorry、You’re welcomeのワンパターンずつしか習いません。ですが、ネイティブはよりたくさんの表現を使って感謝や謝罪の気持ちを表しています。ここにいくつか取り上げてみましょう。
ありがとう
-Thanks a lot. (口語「ありがとう」)
-Thank you so much. (口語「ありがとうございます」)
-Thank you very much indeed. (「本当にありがとうございます」)
-Many thanks (書き言葉「ありがとうございます」)
-I’m grateful (to you). (「感謝しています」)
ごめんなさい
-I’m so/very sorry. (口語「本当にごめんなさい」)
-My apologies. (「お詫び申し上げます」)
-Please accept my apologies. (書き言葉「申し訳ありません」)
-Excuse me. (「すみません」)
-Forgive me. (「許してください」)
どういたしまして
-You are most welcome. (「全然大丈夫ですよ」)
-Welcome. (「いえいえ」)
-(It’s) my pleasure. (「どういたしまして」)
-No worries. (「心配ないよ」)
-Never mind. (「気にしないで」)
-That’s fine. (「大丈夫だよ」)
-It’s alright. (「大丈夫だよ」)
いかがでしょうか。「ありがとう」や「ごめんなさい」の表現だけでこんなにもたくさんあります。いつもThank youとI’m sorry、You’re welcomeばかり使ってしまうという方は、ぜひ違う表現を試してみてください。
待ってもらう
次は、相手と会話をしている時に、相手に少し待ってもらいたい時、あるいは少し席を外したりする時に使える表現です。正直これらは、筆者が日本では習ったことがない表現ばかりでした。ですがイギリスでは何度も耳にするフレーズなので、覚えておくと英語の表現の幅が広がるでしょう。
まず、会話の途中で何か他のことを思いついたり、会話を一旦止めたい時に気軽に使えるフレーズがあります。それはHold onという表現です。もちろんこれだけでも使えますが、Hold on a secondやHold on a momentなどと時間の表現を伴うことができます。相手にその場で待っててもらう時にももちろん使えますし、会話の流れを止めたい時にも使うことができます。例文を挙げてみます。
-So shall we go shopping now? We need some stuff like milk, egg…
(「じゃあ買い物に行こうか?牛乳とか卵とか買わなきゃいけないものが…」)
-Hold on, the shop is already closed! It’s Sunday today!
(「ちょっと待って、もう店は閉まってるよ!日曜日だから!」)
これ以外にも、Bear with meという表現をよく耳にします。これは、文字通りに訳すと「私を我慢して」という不思議な表現になります。ですが、これは「私が不在にする間、しばらく我慢してください」というような意味になるのです。先ほどのHold onと同様、Bear with me one momentやBear with me for a whileといった風に表現を付け足すことができます。この表現がHold onと違うところは、実際に自分が不在になったり、相手に対応できなくなる時間がある時にしか使えないということです。つまり「我慢してもらう」だけの時間が必要な時に使うので、会話の流れを止めるだけのためには使えないということです。例文を見てみましょう。
-I’ll fetch some documents we need. Bear with me, please.
(「必要な書類を取ってきます。どうぞお待ち下さい。」)
-I’m gonna see when he’s available next. Please bear with me one moment.
(「彼の予定が次いつ空いているか確認します。少々お待ち下さい。」)
これらの表現の他にも、Give me one second/moment, pleaseという言い方もあります。Give meを省いてOne secondやOne momentだけで表すこともできます。相手に待ってもらいたいので、「待つ」という意味のwaitをすぐに思い浮かべがちですが、waitという言葉を使わなくても、相手に待ってもらう言い方はたくさんあります。スムーズに言えるよう、練習を繰り返しましょう。
会話の中のフレーズ
最後に、会話の中でネイティブがよく使うフレーズをご紹介していきます。まずは、相槌の仕方です。相手がなにかを話している時に、ただただ頷いていたり、黙っているだけとネイティブには変に見えてしまいます。ネイティブのように相槌を打てるよう、積極的に練習していきましょう。
まず、最もシンプルな相槌は、Yes、Yeahなどです。Yesは「はい」、「ええ」、「そうですね」という感じで、どんなシチュエーションでも使えます。日本人がよく使うYeahは、使うときに少し注意が必要です。というのも、崩れた英語の表現なので「ああ」、「そうそう」というニュアンスになるのです。ですから、目上の人やあまり親しくない人には使わず、友達同士や仲の良い人に対してのみ使うようにしましょう。
他にも簡単な相槌として、RightやTrueが挙げられます。これらはまさしく「正しい」や「本当」という意味で、相手の言っていることが正しいときに使いますが、伝わるニュアンスは「そうだね。」くらいの意味です。相手の言っていることがまさに的を射ていたり、激しく同意したい場合は、Indeed! (「たしかにね!」)やExactly! (「まさにその通り!」)、あるいはAbsolutely!(「全くその通り!」)、Definitely! (「間違いないね!」)などを使うと、表現の幅が広がります。いずれも少し発音が難しいですが、覚えておくと便利な表現です。例えばこんな風に使うことができます。
相手の話していることが自分にとって新鮮に感じたり、すごいと思ったり、びっくりしたときは、その感情に合わせた相槌を使うようにしましょう。シンプルに、 Cool!(「いいね!」)やWonderful! (「すごいね!」)、Great!(「いいね!」)、Brilliant!(「すばらしい!」)、Nice!(いい感じ!)といった形容詞を使うことができます。相手が言ったことに感情を込めて反応することができますから、会話も弾みます。これらの形容詞が多少大げさに感じたとしても、会話の相槌としてはそれほど強い意味はないので、気軽に使ってみるようにしましょう。また、イギリス英語では、Lovely!(「いいね!」)という形容詞もよく使われます。Loveという言葉を含んでいるので、恋人同士で使う表現かと思い、やや尻込みしてしまいそうになりますが、イギリスでは誰に対してもこの形容詞を普通に使います。ですので、イギリス人と会話をすることがあったら、ぜひこの相槌も試してみてください。
さらに、相手の発言に対して反対の意を表したいときの相槌もたくさんあります。例えば、Really? (「本当?」)やSeriously? (「まじで?」)といった表現が便利です。それから、相手の発言の念を押すように、Are you sure?「本気?/本当にいいの?」と聞くこともできます。Sureという単語は、文字通りに訳すと、何かを確信しているという意味になるので、相手の発言の真偽を確かめたいときに特によく使います。これはSure?という風に、Are youを省略して使うこともできます。
それから、自分がなにかを説明している時に、相手がきちんと内容を理解しているか、わかっているかを確認したいことがあるとします。日本語では「わかった?」や「わかりましたか?」という表現になるので、自然とDo you understand?という英語に訳してしまいがちです。しかし、このDo you understand?という表現は、実はとても強い表現で、怒っている印象を相手に与えてしまうのです。例えば、親が子供に対して使ったり、相手に念押しする時などによく使います。ですので、普通の会話では使わないようにしましょう。
代わりに使える表現に、Does it make sense?というものがあります。make senseとは「意味が明瞭である」とか「筋が通っている」という意味です。それを疑問にすることで、「(今の説明は)筋が通っていますか?」→「(今の説明で)わかりましたか?」という風に解釈されます。ですので、自分がなにか説明をして、相手の理解度を確かめたい時は、Does it make sense?と聞いてみましょう。
まとめ
さて、ここまでネイティブがよく使う表現で、日本ではあまり習わないであろうポイントをご紹介してきました。日本の教科書で文法を習うのもとても大事ですが、いざネイティブと会話してみると、習ったことと全然違う!と思うこともあるかもしれません。教科書の英語だけでなく、映画やドラマなど、より自然な英語を耳にするなどして、ネイティブが使う英語も習得していきましょう。全てを一気に実践しようとしても、とても難しいと思います。ですので、少しづつでも、自分ができるところから取り入れて、ネイティブのような英語を話せるようになりましょう!