「英語の聞き流し」って、本当にただCDやPodcastをダラダラと流し続けることだと思っていませんか?
残念ながらあなたがまだ初心者レベル、もしくは日常会話レベルをめざしているのなら、その聞き流しだけではまったく効果がありません。
これは私自身が体感していますし、脳科学的にも第二言語習得学的にも指摘されていること。
しかし、同じ聞き流しでも「3つのコツ」を加えるだけで、英語のリスニング力は一気に加速して上がります!
ちょっとした留学程度の経験しかない私でも、このコツをつかんだおかげで、リスニング力と発音だけは自信があります。ネイティブに「君はネイティブじゃないの?」と訊かれるレベルです。
今回は、「聞き流しでリスニング力が上がらない理由」と「効果的な聞き流しにする3つのコツ」について、掘り下げてみましょう。
聞き流しだけではリスニング力が上がらない2つの理由
英語の聞き流しは、単純に「英語に慣れる」という意味では効果的です。
しかし、本当にリスニング力アップ・日常会話力アップにつなげたいと思うのであれば、まったく効果はありません。
脳が雑音として処理するから
脳は、意味の分からない言葉はすべて「ただの音」として処理します。
これは洋楽をイメージしてもらうと分かりやすいのですが、洋楽を聴くことも「英語の聞き流し」のひとつですよね。
本当に「聞き流し」に効果があるなら、洋楽ばかり聴いている人はみんな英語ペラペラです。
「いやいや、私は洋楽でリスニング力を鍛えたよ!」という方は、おそらくある程度の英語力(語彙力)を持っているはず。(もしくは理解しようと集中して聴いている)
私も同じですが、知っている単語が増えると、洋楽を聞き流すだけでもリスニング力が鍛えられていきます。
これは脳が、「ただの音」ではなく「単語」として処理できるからです。
日本語でも、テレビや街中で頻繁に流れている音楽の歌詞って、興味がなくても覚えてしまいますよね。
「ただの音」を、いくら聞き流したところで英語力アップの効果は無いのです。
大人の脳は聞き流しに向かないから
私たちが英語を習得するためには、「たくさん聞くこと(インプット)」と、「たくさん話すこと(アウトプット)」が必要です。
これは、米ピッツバーグ大学言語学科の教授も指摘しています。
そして、第二言語習得のために必要なインプットのポイントは、以下のとおりです。
- 繰り返し聞く
- 集中して聞く
何度も同じシチュエーションで繰り返される言葉は、自然と理解できるようになりませんか?
たとえば日本語の「おはよう」も、「朝起きたときに言われる」というシチュエーションのもと覚えたはずです。
もっとむずかしい日本語(ビジネス表現など)であっても、何度も同じシチュエーションで聞くたびに、なんとなく使われている意味が分かるようになりますよね。
しかしここでひとつ問題があり、大人の場合には脳科学的に「丸暗記」が苦手なんです。
子どもの脳は丸暗記が得意なので、繰り返されるだけでも覚えていきます。
大人になるにつれて脳は丸暗記が苦手になっていき、その代わりに「理解して覚える」という部分が発達します。
そのため、大人が聞き流しでリスニング力や英語力そのものをアップさせるためには、「理解していること」が前提となります。
なんとなくでもいいので、理解できる英語を集中して聞くことが重要です。
ここでいう「集中」とは、一言一句逃さず聞き取ることではなく、「意識を向ける」ということ。
意識を向けずにダラダラと聞き流す方法は、大人の脳にとって効果的な英語力アップの方法ではないのです。
英語のリスニング力UP!聞き流しに加えるべき3つのコツ
同じ「聞き流し」でも、ちょっとした工夫をするだけで、リスニング力・英語力は一気に上がります。
そのコツを3つ、お伝えします。あなたのライフスタイルに合わせて、取り入れやすい方法で始めてみてくださいね。
コツ①とにかく真似る!シャドーイング
「シャドーイング」とは、聞こえてくる音を追いかけるように繰り返す英語の上達方法です。
私は、英語を上達させるコツはただひとつ、「とにかく真似る、とことん真似る」だと思っています。
最初はうまく発音できなくても、単語すべてが理解できなくても、ただひたすらに真似ていくのです。
真似ていくうちに、ネイティブが話す英語のリズム・強弱・アクセントなどが自然と身についていきます。
そして、「どう真似たらいいか分からない」という方におすすめしたい方法が、このシャドーイングです。
これは同時通訳の訓練としても使われていますが、方法自体はとても簡単。
必要なものは、スクリプト(台本となる文章)が載っているリスニング教材のみです。
- スクリプト無しで全文通して聞く
- スクリプトを見ながら音声を追っかけるように繰り返す
- スクリプト無しで音声を追っかけるように繰り返す
必然的に、小さな声で繰り返す(そうしないと聞こえないから)ようになります。
正確には自分の声を録音して聞き直したり、単語のチェックをしたりなど、細かい作業も入りますが、継続のしやすさから上記の方法がおすすめ。
さらに、シャドーイングをおこなうときには、以下のポイントにだけ気をつけてみてください。
- 途中でつまづいても気にしない
- 物真似する勢いで真似てみる
「教材がない」という方は、英語のテレビやラジオでスクリプト無しでチャレンジしても良いでしょう。
テレビを見ながら、聞こえてきた音声をひたすらつぶやくイメージです。
私は中学生の頃に、もちろん当時はシャドーイングという言葉すら知りませんでしたが、テレビでやっていた海外ドラマをひたすらシャドーイングしていました。
そのおかげで普段のネイティブとの会話から発音を真似るコツも身に付きましたし、TOEICのリスニングでは満点を取ったこともあります。
シャドーイングをするしないでは、その後の英語の勉強でも、理解度に大きな差がつくのです。
コツ②理解できると楽しい!レベルに合った教材を使う
英語のリスニング教材を買うときに、レベルに悩んでしまった経験はありませんか?
上級者なら、自分の本来のレベルより多少上でも問題ありませんが、初級~日常会話レベルをめざしている方は、「やや簡単に感じるレベル」がおすすめです。
目安としては、知っている単語と知らない単語が7:3程度のバランスになっているもの。
リスニング力アップに関しては、理解できるものを使い、英語独特の発音や音のつながりを身につけることが重要だからです。
知っている単語が7割あれば、内容もなんとなく理解でき、残りの知らない単語3割も聞き流してるだけで目安がつきます。
先ほどもお伝えしましたが、大人脳は「理解したことを覚える」というのがポイント。
そして何より、「理解できないことを聞き続ける」のは単純に苦痛です。
私もたまに、調子にのって自意識過剰にも「自分のレベルより明らかに上」の教材にチャレンジすることがありますが、ほぼ挫折しています…。
「理解できるレベル」だと、聞き取れるのが楽しく、さらに理解できているのでセンテンス丸ごと暗記することもむずかしくありません。
英語の文法は日本語よりもシンプルで、パズルのようなもの。
センテンスを丸ごと覚えるとそれだけで文法が身に付き、表現の幅も広がります。
「理解できるレベル」を聞き流すことは、リスニング力以外の面でもメリットが多いのです。
コツ③1日5分、書き出す時間を作る
長く英語を勉強されている方なら、「ディクテーション」という方法を知っているかもしれません。
これは、リスニングしながら「聞こえた単語や文章を書きだす」という勉強方法。
この方法は、リスニング力アップの重要なコツである「集中して聞く(意識を向ける)」を簡単に実現してくれます。
ただし、最初に注意しておきますが、ディクテーションだけを繰り返すのはNGです。
単語に集中しすぎるあまり、英語独特のつながりが身に付きにくくなります。
(あと、楽しい作業ではないので長続きしません)
1日5分~10分程度、単調になりがちな聞き流しに刺激としてプラスするのをおすすめします。
ディクテーションの方法は、以下のとおりです。
- 音声を何度か繰り返し、聞き取れた単語を書き出す
- 5~6回聞いても聞き取れなかった部分をチェック
これだけの簡単な方法ですが、自分のレベルに合わせて「最初に全文通して聞く」「意味もチェックする」などを加えてみてください。
私は英会話講師としても働いていましたが、まずは全文通して聞かせ、聞こえた単語をどんどん言わせるディクテーション方法を取り入れていました。
シャドーイングと合わせておこなうことで、どんどんリスニング力と発音が鍛えられていきます。
聞き流すしか時間がない!そんな人におすすめのリスニング方法
「シャドーイングとか書き出しとか、そんな時間がないからただの聞き流しで頑張りたい」という方もいると思います。
どうしても聞き流すしか時間がないという方は、以下ふたつのポイントを意識してみましょう!
知っている日本のニュースの英語版を聞く
TEDなどもリスニング教材として優秀と評判ですが、話し手が何者なのか、何についての話なのかも分からないまま聞いたところで意味はありません。
何度もお伝えしたとおり、リスニング力をあげるコツは「理解できること」です。
すでに見聞きした日本のニュースなら、単語が分からなくても内容の全貌は理解できますよね。
まったく理解できない内容は、いつの間にか意識がほかへ向いてしまいますが、興味のある内容・理解できる内容なら、意識を集中させることができます。
また、ニュースの英語版はアナウンサーならではの「聞きやすさ」というメリットがあります。
まだネイティブの話すスピードに慣れていない方にとって、よりクリアな音としてキャッチすることができるのです。
ぜひラジオやテレビを活用して、知っている日本のニュースの英語版を聞いてみてください。
家事や運転中のリスニング時間を増やす
聞き流すだけでは効果がないといっても、「どうしても聞き流ししか方法がない」なら、時間を増やすことも重要です。
ただし、ポイントは家事や運転中など、ほかに言語脳を使わない作業をしているときに聞き流すこと。
メールで文章を打ったり、本を読んだりしているときに、そのかたわらで英語を聞き流してもなんの意味もありません。
これは、人の脳がふたつの異なる言語活動に適していないため。
いくつかの言語活動が同時に進行されると(読書しながら英語聞き流し、など)どちらかに集中してしまいます。
集中されてない方の言語は、ただの雑音です。
日常会話のリスニング力UPにおすすめ!英語聞き流し無料アプリ2選
聞き流しを継続させるためには、使いやすさも重要ですよね。
スマホに入れておけるアプリなら、通勤中などでもいつでも聞くことができます。
そこで最後に、おすすめの英語聞き流しアプリを2選紹介!
もちろん、シャドーイングやディクテーションとも相性のいいアプリですので、ぜひチェックしてみてくださいね。
レアジョブ 瞬間リスニング(初級におすすめ)
参考URL:https://apps.rarejob.com/flashlistening/
<おすすめポイント>
- シーン別で役立つ英会話
- 回答までの時間を計測
- レスポンス力がUPする
23種類のシチュエーションが収録され、3択の回答のなかから正しい表現を当てる形式のアプリです。
「お会計は?」や「今度の週末だけど」など、よりリアルな日常会話が選ばれているので現実場面で活用しやすいのがこのアプリの魅力。
3択問題と聞くと簡単すぎるように感じますが、5秒程度で回答しないとハズレになってしまいます。
さらに、回答までどれくらいの時間がかかったか?を計測する機能が搭載されているので、「スピーディーなレスポンス力」がつくんです。
海外旅行や留学を控えている英語初心者の方、まだ日常会話でワンテンポ遅れる…という方におすすめです。
バイリンガルニュース(中級におすすめ)
参考URL:https://bilingualnews.jp/
<おすすめポイント>
- 自然体な英語が聞ける
- 日本語入りで理解しやすい
- 京都大学でも採用されている
今話題のPodcastで、京都大学でのリスニング教材に採用されるほど高い質の良さが人気を集めています。
日本人のMami、日米ハーフのMichaelが、そのときどきニュースをピックアップ。
日本語と英語が入っていることで分かりやすく、さらにフリートークであることが「バイリンガルニュース」独特の魅力です。
台本が無いナチュラルな会話としてリスニングができるので、教材のようにキレイすぎることが無く、日常会話力を鍛えたい方にピッタリ!
毎回のニュース選びもセンスが良く、今話題のことや誰もが気になっていたことなど、飽きずに聞くことができます。
楽しく毎日続けることが英語力UPの秘訣
「続けることが大切です」なんて、あなたは百も承知だと思います。
では、英語を楽しく続けるコツとは?
これは、「ネイティブになりきってカッコつけてしゃべってみること」です!
「発音なんかどうでもいい」という意見もありますが、私はそうは思いません。
日本語と違って、通じる英語に発音は欠かせないのです。
そして、通じる発音を身につけるためには、恥ずかしがらずにカッコつけて真似してしまうのがいちばんの近道。
そのためにも、効果的な聞き流し方法で、リスニング力と発音を同時に鍛えてくださいね。